血管内皮細胞の線溶活性を亢進させる有機セレン化合物

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タイトル別名
  • Organoselenium compounds that enhance fibrinolytic activity of vascular endothelial cells

抄録

<p>【目的】有機金属化合物は、それを構成する有機骨格構造および金属と異なる反応性を示しうることから、活用の機会が広がっている。我々は報告例の少なかった求核性有機金属化合物の細胞毒性を有機セレンおよび有機テルル化合物を用いて検討したところ、diphenyl selenideおよびdiphenyl tellurideが血管内皮細胞に対する傷害性が低いことを明らかにした。本研究では、これら化合物の誘導体が内皮細胞機能の一つである線溶活性に及ぼす影響を検討した。 </p><p>【方法】無血清あるいは10% ウシ胎児血清を含むDMEMで培養したヒト血管内皮細胞株EA.hy926細胞に2-[(N, N-dimethylamino)methyl]phenyl phenyl selenide(HU JK10-03)および2-[(N, N-dimethylamino)methyl]phenyl phenyl telluride(HU JK10-09)を処理した。細胞生存率はMTT assay、mRNA発現は定量的RT-PCR、培養上清中の線溶活性はフィブリンザイモグラフィーにより解析した。 </p><p>【結果・考察】両化合物とも血清を含む培養条件では血管内皮細胞の生存率の低下は認められなかったが、無血清培養条件ではHU JK10-09は5 µMから生存率の低下が認められた。次に、血管内皮細胞における線溶活性の活性化因子t-PAおよびその阻害因子PAI-1のmRNA発現を検討したところ、HU JK10-03の処理下においてのみ濃度依存的なt-PA mRNAの誘導が認められ、PAI-1 mRNA発現への顕著な影響は認められなかった。また、本結果と相関して、HU JK10-03を処理群の培養上清における線溶活性の亢進も認められ、中心金属の選択により血管内皮細胞の線溶活性を調節可能な有機金属化合物であることが明らかとなった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299395584634240
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p2-142
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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