ラットを用いた各種媒体の反復気管内投与による影響
書誌事項
- タイトル別名
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- The effect of repeated intratracheal instillation of different vehicles in Crl:CD(SD) rats
抄録
<p>【目的】近年、様々な創薬基盤技術を用いた医薬品の研究開発により、低分子医薬品だけでなく、様々な新規モダリティによる医薬品が臨床的に実用化されているが、新規モダリティの薬物デリバリー経路として、吸入経路が注目されている (Hall et al. Toxicol Pathol., 2021)。吸入による薬物の安全性評価には、大規模な吸入曝露施設や装置や大量の被験物質が必要とされ、また、吸入曝露条件下では、鼻腔を含む上気道で薬物がトラップされ、下部呼吸器への到達量は約2割と標的臓器である肺への直接曝露には課題がある。当社は、これまで独自の気管内投与手技を確立し、吸入経路による薬剤の安全性評価の初期スクリーニングとしての有用性を報告してきた。今後、吸入投与のため様々な媒体が検討されることから、今回、7つの媒体について、ラットを用いて7日間反復気管内投与し、これらの影響を経時的に検討した。 </p><p>【方法】本試験では、媒体として、5%PEG400、5%DMSO、0.1%Tween 80、生理食塩液、注射用水、マッキルベイン緩衝液(pH 7.0)及びPBSを選択した。8週齢の雄Crl:CD(SD)ラットに、各媒体を1 mL/kg の容量で7日間気管内投与し、また、ゾンデの挿管のみを行うsham群を設定した。投与後、一般状態観察及び体重測定を実施し、実験開始8日後及び7日間の回復期間終了後に剖検し、血液学的検査、血液生化学的検査、器官重量、肺胞洗浄液の検査並びに病理組織学的検査を実施した。</p><p>【結果】実験期間を通して動物に死亡はみられず、一般状態観察においては、sham群を除くすべての投与群で投与後一過性に捻髪音がみられた。また、体重は各媒体群に影響はみられなかった。本学会では、その他の検査項目の解析並びに病理組織学的検査の結果も含めて報告する。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P2-183-, 2023
日本毒性学会