ムレミカヅキモを用いた下水処理水の慢性影響評価

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タイトル別名
  • Chronic effects of secondary effluent water on <i>Raphidocelis subcapitata</i>

抄録

<p>【目的】下水処理水の安全評価を行う場合、短期的影響に加え長期的な慢性影響を配慮する必要がある。WET試験における藻類を用いた影響試験では、3日間の培養期間で増殖速度を指標とする手法が用いられるが、慢性的な影響を把握するためには、増殖速度に加え、形態や遺伝子レベルで多世代への影響を確認することが重要であると考えられる。本研究では実下水処理水を用いてムレミカヅキモを2か月間繰り返し培養し、下水処理水の慢性的な影響評価を行った。 </p><p>【実験方法】試験には(国研)国環研から分譲されたムレミカヅキモ(NIES-35株)を用いた。A下水処理場から採取した終沈流出処理水を0、5、80%濃度としてMilli-Q水で希釈し、C培地を基本とした試験溶液を作製した。ムレミカヅキモを各試験溶液に添加し、25℃、1,500 Lux、100 rpm条件下で1週間培養後、各培養液を同処理水濃度の新しい試験溶液に添加し、この工程を10回繰り返した。 </p><p>【結果と考察】ムレミカヅキモの比増殖速度は、処理水濃度間で差は見られなかった。一方細胞数は培養を繰り返すことにより5%処理水で増加したが、80%処理水で大きな変動は見られなかった。細胞の大きさは、5%処理水で繰り返し培養しても0%処理水と比べてほとんど変わらなかったが、80%処理水では培養回数6回目から細胞が肥大し、培養8回目では細胞面積が2.1倍を示した。AFLP法では、0%処理水は継代回数に関わらず同一クラスターに分類されたが、80%処理水では、独立したクラスターに分類され、継代により遺伝子変異の可能性が推察された。金属分析の結果、使用した処理水には他の金属に比べてZnが高く検出された(平均47.7 mg/L)。既存の報告から、処理水中に含まれるZn が要因の一つである可能性が示唆された。*本研究は公益財団法人クリタ水・環境科学振興財団の助成を受けて行った。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299395584753792
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p3-259
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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