サルにおける心拍変動の周波数解析:2つの異なる周波数帯域幅設定による解析結果の比較

DOI
  • 水野 洋
    エーザイ株式会社 高度バイオシグナル安全性評価部
  • 松下 優作
    エーザイ株式会社 高度バイオシグナル安全性評価部
  • 本間 大悟
    エーザイ株式会社 高度バイオシグナル安全性評価部
  • 板東 正博
    エーザイ株式会社 インテグリティ&サイトマネジメント統括部
  • 吉永 貴志
    エーザイ株式会社 高度バイオシグナル安全性評価部

書誌事項

タイトル別名
  • Frequency analysis of heart rate variability in monkeys: Comparison of the results with two different settings of frequency bandwidths

抄録

<p>心拍変動(HRV)の周波数解析は,自律神経系(ANS)の交感神経と迷走神経の活動を推定するために広く使用されている。この周波数解析では,種に適した低周波(LF)及び高周波(HF)帯域幅を使用する必要があるが,サルにおいて標準となる帯域幅が存在しないため,サルのANS活動の報告間比較を困難にする。本研究の目的は,サルの研究で使用されている2つの異なる周波数帯域幅設定を用いて,RR間隔からHRV解析を実行し,得られた結果を比較して,各設定の特性を理解することとした。アトロピン(ATR,1 mg/kg),アテノロール(ATE,1 mg/kg),クロニジン(CLO,0.1 mg/kg)又は対照として生理食塩水を4匹のテレメトリー埋込サルにラテン方格法で静注し,投与後24時間データを取得した。HRVの周波数解析は,Champerouxら(C設定,LF帯0.04-0.10Hz,HF帯0.10-0.5Hz)とShivyら(S設定,LF帯0.01-0.2Hz,HF帯0.2-0.8Hz)の設定で行った。対照群のトータルパワー(TP)及びHF値は,2つの設定でほぼ同じ値が得られたが,LF値はC設定と比べてS設定が4倍高く,それゆえLF/HF比も同様に高かった。ATRにより昇圧と著しい頻脈,CLOにより著しい徐脈と降圧,ATEにより徐脈のみが誘発され,それらの期待された変化は少なくとも投与後4時間以上持続した。いずれの設定においても,ATRはLFとHF値を有意に減少させ,LF/HF比を有意に増加させた。CLOはLFとLF/HF比を著しく減少させた。一方,ATEはいずれのパラメーターに対しても明白な影響を及ぼさなかった。2つの設定間でLF値とTPの比率は大きく異なるが,薬物による各パラメーターの変動パターンならびに統計学的検定結果はほぼ同様であることを確認した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299395584770176
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p3-254
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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