周術期心臓超音波検査で僧帽弁逸脱症の合併を検出できた左房粘液腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Left atrial myxoma with mitral valve prolapse detected on preoperative transthoracic echocardiography by a perioperative ultrasonographer: A case report

抄録

<p>心臓手術において経胸壁心臓超音波検査 (transthoracic echocardiography:TTE) は大きな影響を与える.当院では周術期専従の超音波検査士を配置し,緊急手術でも可能な限り術前TTEを施行している.今回,左房粘液腫に合併した僧帽弁逸脱症を術前に検出し,腫瘍切除術と僧帽弁輪形成術 (mitral valve annuloplasty:MVA) を同時に施行した1例を経験した.症例は68歳,女性.うっ血性心不全の診断で近医に入院し,TTEで左房内腫瘤と中等度の僧帽弁閉鎖不全症 (mitral regurgitation:MR) を指摘され手術目的に当院へ搬送された.搬送後の周術期超音波検査 (TTE) でMRの責任部位と考えられる僧帽弁前尖A3の軽度逸脱を認めた.所見は速やかに麻酔科医と心臓血管外科医に伝えられた.腫瘤は有茎性で心房中隔と付着しており,一部心房中隔ごと切除した.僧帽弁は弁輪径の拡大による接合不全を来しており,前尖A3の変性と余剰も認めていた.MVAを施行し,逆流が制御されたことを確認して手術を終了した.術後組織診検査で左房粘液腫と診断された.左房粘液腫ではしばしばMRを合併するが,その正確な検出や重症度評価は困難である.限られた時間の中で速やかにTTEを行い所見を共有できる体制を構築していたことが,適切な術前評価と術式選択に繋がった.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 51 (2), 107-111, 2024

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (7)*注記

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