O-14-02 重症心身障害児(者)の腹部膨満改善の取り組み

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タイトル別名
  • −腹部マッサージと温罨法を取り入れて−

抄録

はじめに 重症心身障害児(者)は、脳性麻痺などの基礎疾患や過度の筋緊張、薬物の影響などにより慢性的な便秘に陥りやすい。A氏はアテトーゼ型脳性麻痺のため筋緊張があり、自力での排便が困難な状態である。腹部膨満が増強すると筋緊張を誘発しやすいことから、非侵襲的な腹部マッサージと腹部温罨法の併用が、筋緊張しやすいA氏の腹部膨満の改善に有効であるか検討した。 事例紹介 A氏 50歳代 女性 診断名:核黄疸後遺症によるアテトーゼ型脳性麻痺 倫理的配慮 A氏とご家族に目的と主旨を説明し同意を得た。また当院倫理審査委員会承認を得た。 方法 実施期間2020年10月31日〜11月13日9時のおむつ交換時に、腹部マッサージと腹部温罨法の実施(経管栄養終了後1時間で、8時に抗けいれん薬内服後、筋緊張が落ち着く時間帯に実施) 観察表を作成し、介入期間前と介入時の腹囲、排泄状況、筋緊張の程度を比較した。 結果 入浴日を除く週5日を2週間継続した。腹囲の平均値は事前調査67.14cm、介入1週目66.21cm、2週目65.64cmであった。排泄状況は、自然解消便の頻度が14日中2回から5回に増加し、少量のみの排便回数が14日中13回から10回、付着が5回から0回に減少した。腹部マッサージ中の脈拍は50〜70回/分、温罨法中60〜70回/分、血性胃残を伴う筋緊張の亢進はなかった。 考察 腹囲を比較すると、介入1,2週目の平均値が徐々に減少し腹部膨満の軽減がみられた。排泄状況を比較すると、浣腸実施日以外の自然解消便が増加し、少量・付着のみの排便回数が減少した。排泄時間に合わせて、腹部マッサージと温罨法を継続して併用したことが相乗効果を生み、腸蠕動を促進し1回の排便量を増加させたと考える。また実施中、不快反応や脈拍上昇がみられなかったことから、筋緊張しやすいA氏において、苦痛を伴わないケアであり、腹部マッサージと温罨法の併用は、腹部膨満の改善に効果があったと考える。 申告すべきCOIはない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299450896845056
  • DOI
    10.24635/jsmid.46.2_278_1
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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