TC療法施行症例におけるシスタチンCを指標とした腎機能評価の有用性

書誌事項

タイトル別名
  • Usefulness of Cystatin C-Based Renal Function Assessment in Patients Undergoing Paclitaxel and Carboplatin Combination Therapy

抄録

シスタチンC(cystatin C:CysC)は血清クレアチニン(seram creatinine:Scr)と比べ外的要因の影響を受けにくく,より正確な腎機能評価が可能である。TC療法施行婦人科癌患者を対象に,CysCとScrから算出した腎機能評価と化学療法施行状況について調査した。対象患者は98例であった。CysCとScrそれぞれから推定糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)を算出し,eGFRcreとeGFRcysとの間に有意な正の相関が認められた。eGFRcreとeGFRcysのCKD重症度分類におけるGFR区分が一致した症例は56例であった。重度症例(eGFRcys<eGFRcre)は一致症例と比較して年齢が有意に高く(P<0.05),アルブミンが有意に低かった(P<0.01)。腎機能評価と化学療法施行状況について明らかな関連は見いだせなかったが,処置・延期群ではCysCおよびeGFRcysが低値もしくは低値傾向であった(CysC:P<0.01,eGFRcys:P=0.07)。以上より,婦人科癌患者ではeGFRcreはeGFRcysと比較して過大評価となる可能性があり,特に高齢者や低アルブミン血症患者は乖離する傾向が強く,乖離症例ではカルボプラチン過量投与や治療延期の危険性を招く可能性が示唆された。

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参考文献 (14)*注記

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