イギリスにおけるシンセティック・フォニックスの指導と教材―小学校2校を訪問して―

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タイトル別名
  • Synthetic Phonics Instruction and Materials in the U.K.: Report from Two Primary Schools
  • イギリス ニ オケル シンセティック ・ フォニックス ノ シドウ ト キョウザイ : ショウガッコウ 2コウ オ ホウモン シテ

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抄録

抄録  本稿では,イギリスの小学校 2 校の訪問を通して,「Little Wandle Letters and Sounds Revised」と「Read Write Inc.」という,イギリス政府認定のシンセティック・フォニックスの教材と,それを使用して行われる授業の様子を報告した。どちらの教材も,国が示す具体的なプログラムに基づいて作成されているので,扱う基本の音素・書記素の内容とその指導の順番はほぼ同じであったが,少し異なる部分もあった。そこに教材作成会社としての考えが表れている。教材を学校で採用・購入すれば,教え方のビデオの視聴や,指導案,評価用資料,ワークシートのダウンロードが可能となる。また,カード,ポスター,約300冊のデコーディング用絵本がパッケージとして提供されていた。さらに教員研修も提供されていた。学校は,それぞれの実情に合わせて教材を選択し採用していた。  授業は,毎日決まった時間をフォニックスに当てていた。今回 1 年生と 2 年生の授業を見学したが,学年のはじめということもあり,1 年生はレセプションで,2 年生は 1 年生で学んだことの復習が主に行われていた。また,1 年生を 5 人ずつ取り出して,デコーディング用絵本を読む指導も行われていた。英語母語話者の子どもは,44の音素と同音異綴,トリッキーワード等を一つ一つ丁寧に,ブレンディングとセグメンティングを繰り返しながら時間をかけて学んでいる。日本におけるよりよいフォニックス指導について考えるためには,シンセティック・フォニックスについて深く理解する必要があり,本稿の報告がその一助になれば幸いである。

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