新しいせん妄予防法の検証〜メトホルミンと抗炎症薬を中心に〜

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タイトル別名
  • Metformin and anti‐inflammatory medication use associated with reduced delirium risk and all‐cause mortality

抄録

せん妄の発症を予防することが重要であることに議論の余地はない。せん妄予防に関する取り組みの報告は数多くあるが,単一の予防法のみでは効果が不十分であったり,必ずしも広く適用できないことから,さまざまな角度から新規介入の可能性を検討することが必要である。筆者らはせん妄予防の候補物質として加齢性疾患を改善し抗老化作用を有する可能性が報告されているメトホルミンと,せん妄の病態に大きく関与していると想定される炎症を抑制する抗炎症薬に着目した。これらの薬剤の使用がせん妄リスクの低下および死亡率の低下にかかわると仮説を立てた。これらの仮説に基づき,これまでの研究でリクルートした患者のデータを調査し,各薬剤とせん妄リスク,および死亡率の関係について検証した。  2型糖尿病(DM)患者のメトホルミン使用とせん妄の有無の関連を調べたところ,メトホルミン使用歴はDM患者のせん妄のリスクの減少および3年死亡リスクの低下と有意に関連していた。抗炎症薬のせん妄予防効果および死亡率の低減効果についての検証では,NSAIDsの使用歴がせん妄の有病リスクの低下と関連する傾向と1年死亡リスクの低下と関連が示された。これらのデータは,メトホルミンとNSAIDsが新たなせん妄予防の候補物質として今後検討される意義を示している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299595850361728
  • DOI
    10.11249/jsbpjjpp.35.1_29
  • ISSN
    21866465
    21866619
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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