日本における地域共生社会と地域包括ケア

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書誌事項

タイトル別名
  • Community-based inclusive society and integrated care in Japan
  • Concepts and challenges for practice
  • 概念と実践に向けた課題

抄録

<p>少子高齢化という人口動態の変化はグローバルな課題であり,これに対応したヘルスシステムの変革が求められている.1990年代から統合ケアという概念によって,質を確保しながらその効率性を高めていくケアの提供手法について検討されてきた.日本は,高齢化の進展に伴い増大するケアニーズに対応するために介護保険制度を創設し,介護サービスに特化した提供システムを整えてきた.これによって,医療やリハビリテーション,その他福祉サービスとの断絶が起こったため,その統合にむけ「地域包括ケア」という概念が提唱され,この実現に向けた取り組みが継続的に実施されてきた.その後,高齢者福祉領域で実施されてきたこれらの試みを他の領域(生活困窮者,子ども家庭,障害を持つ人など)の支援へと展開し,その充実を図る過程において,縦割りの制度の克服や地域づくりが求められ,「地域共生社会」という概念が提案された.この概念は,世代や分野を問わず地域を基盤として包括的にケアを提供していくという日本型の統合ケアの概念と,ケアの支え手と受け手や人々と地域の共同性を推進する地域づくりの概念という2つの概念を内包するものと説明できる.この地域共生社会を実現するための包括的支援体制の構築に向けた政策は2016年度以降実施されてきており,2021年度より市町村による重層的支援体制整備事業も創設された.現在,これらの取り組みを地域の実情に応じて推進していくための,戦略の立て方を含む方法論の確立が求められている.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 73 (1), 32-41, 2024-02-29

    国立保健医療科学院

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299605467794688
  • DOI
    10.20683/jniph.73.1_32
  • ISSN
    24320722
    13476459
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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