当科における生体肺ドナー手術 ―適応評価・手術手技・合併症―

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抄録

<p>当科は2008年に現行の生体肺移植プログラムを開始し,累計214名の生体ドナーから提供頂き,118例の生体肺移植を施行した.脳死肺移植登録の有無に関わらず,選定まで待機困難と思われる症例を対象としており,ドナー候補者の自発的な申し出の元に検討を行っている.血液型一致または適合する20-60歳の3親等以内の血族を条件としている。そのため,ドナー候補者は限られ,提供に対するプレッシャーがかかりやすいため,個別に十分な説明を行なっている.術前検査は外来で行い,必要に応じて検査の追加や他科への受診により,肺を含め他臓器にも提供に際して問題ないことを厳正に評価する.ドナー肺摘出術は,前鋸筋を温存した後側方切開で行い,右または左下葉をご提供頂くが、術側はグラフトのサイズや肺動静脈分枝の走行によって決定する。温存肺葉の血管はできるだけ温存するよう血管形成を行うこともある.小児症例に対する生体肺移植も積極的に行なっており、グラフトが大きい場合は区域で提供頂くこともある。これまで術中合併症として、2例の切離気管支の誤認に対して気管支形成を行なった.術後に再開胸を要した症例は4例認め,内訳は後出血に対する血腫除去,膿胸に対する郭清術,遅発性肺瘻に対する修復術,遺残物除去であった.呼吸機能は一旦低下するものの徐々に回復し,術後1年の努力性肺活量・1秒量は術前値の約90%であった.手術関連死亡はなく,全例軽快退院されている.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s115_2-s115_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673814975744
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s115_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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