心臓移植後10年目の心臓再手術によるmiracle recovery

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抄録

<p>【背景】移植心に対する心臓再手術は、海外では一定数行われているが、国内ではごくわずかである。今回我々は、心臓移植後10年目の心臓再手術を経験した。【症例】症例は30歳女性。2012年に他院で心臓移植を施行され、2020年より当院で管理されている。移植後5年目より心機能の低下・有意な三尖弁逆流と僧帽弁逆流が指摘され始めた。移植後9年目、徐脈性不整脈を契機に心肺停止となり、心肺蘇生およびECMO管理を要したが、後遺症なく回復した。移植後10年目、心不全は内科的治療抵抗性となり、重度の三尖弁逆流と僧帽弁逆流に対して手術介入する方針とし、生体弁による三尖弁置換術と僧帽弁形成術を行った。また、三尖弁人工弁機能の長期維持と安定したペースメーカー作動の実現のために、経静脈的右室リードを人工弁外を通過させる工夫を行った。弁逆流が制御されたことで血行動態・自覚症状ともに大きく改善した。現在再手術後8か月が経過し、QOLの改善した日常生活を取り戻している。【結語】心臓移植後の再心臓移植が事実上難しい国内では、移植心に起こる心機能障害に対しては、難治化する前に内科的/外科的に介入していくことが現実的な治療方針である。移植心の心機能低下は複合的要因により起こりうるが、制御可能な段階での治療介入が肝要である。また、心筋生検や拒絶反応などの移植心特有の事情を考慮しての手術戦略をもつことが心臓移植の長期成績の向上に寄与すると考える。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s136_1-s136_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673815001088
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s136_1
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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