小児肝移植術後10年以上経過症例の検討
抄録
<p>【目的】初回小児肝移植術後10年以上経過した症例の現況を解析し、問題点を抽出する。【方法】2013年5月以前に18歳未満で肝移植を受け、肝移植術後初回グラフトで10年以上生存した症例について、術後10年時における臨床症状、血液検査所見などについて検討した。【結果】2013年4月以前に228例に対して小児初回肝移植を施行しており、患者生存率は82.6%であった。初回肝移植後10年以上生存症例は178例(78.1%)であった。移植後10年経過時年齢中央値は11.3歳(10.1~28歳)であった。174例が生体肝移植で、原疾患は胆汁鬱滞性疾患が89例と最も多かった。移植時年齢中央値は1.3歳(0.1~17.9歳)であった。血液検査所見にて肝機能異常値(AST、ALT、GGTいずれかの異常)を示した症例は29例であった。CKDステージG3以上の腎障害を6例に認めた。カルシニューリン阻害剤(CNI)単剤使用が最も多く117例で、2剤使用が34例、3剤以上が26例であった。10年経過時に肝生検を87例(48.9%)に施行しており、慢性拒絶を12例、F2以上の線維化を31例で認めており、異常所見のない症例は17例のみであった。移植後10年以降に死亡した症例は認めなかった。【結後】小児肝移植後10年以上経過症例のほとんどがCNI単剤にてグラフト肝機能が良好に保たれていた。しかし、潜在的に拒絶反応や線維化を認める症例が存在するため、移植後長期経過症例におけるプロトコール肝生検の必要性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 58 (Supplement), s174_2-s174_2, 2023
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390299673815057024
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可