Fc改変抗CD154抗体によるカニクイザルのアロ腎移植モデルにおける長期生着

DOI

この論文をさがす

抄録

<p>【背景】抗CD154抗体はアロ免疫抑制において効果的であり、カルシニューリン阻害剤に取って代わる薬剤として期待されるものの、Fc受容体を介した血小板活性化による血栓形成作用のため臨床使用不可となっている。今回我々は、Fc部分を改変した抗CD154抗体(TNX-1500; TNX)を、カニクイザルのアロ腎移植に用いた。【方法】TNX単剤(20mg/kg/週)投与のA群と、TNX隔週投与にミコフェノール酸モフェチル(MMF)を併用したB群において、各6匹ずつのカニクイザルにアロ腎移植を施行した。従来の免疫抑制剤(タクロリムス、MMF、ステロイド)をC群(37匹)として、免疫抑制剤投与なしをD群(5匹)、6ヶ月目までの移植腎生着期間を比較した。全例抗血栓剤の予防投与は行っていない。【結果】A群では4週目にT細胞関連型拒絶反応(TCMR)を発症した1例を除いて6ヶ月時点での腎生検では拒絶反応を認めず、6ヶ月生着率は83%であった。B群では2匹がTCMRを発症し、もう1例は腸閉塞により死亡した。他3例は拒絶なく、6ヶ月目まで生存した。C群は4ヶ月時点での生着率が52%、D群は全例拒絶を起こし死亡した。血栓形成による塞栓症はA、B両群とも認めなかった。【結語】TNX単剤により、塞栓症を合併せずに良好な移植腎生着率が得られ、臨床応用に向けて今後の適切な使用量の調整が必要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s234_3-s234_3, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ