感染症のスクリーニング検査が臓器提供の日程に影響を与えた1例

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抄録

<p>症例は70歳代男性、B型肝炎の既往があった。X日、自宅の階段から転落して受傷した。当院搬送時の意識状態はGCS E1V2M1で、全身CTで左急性硬膜下血腫、両側外傷性くも膜下出血、右頭蓋骨陥没骨折、右血胸、右第3-8肋骨骨折を認めた。救急外来でCPAに陥り心拍は再開したが、頭部CTで蘇生後脳症の所見が認められた。X+10日に脳死とされうる状態と診断した。X日に行った当院の検査ではHBs抗原陰性だったが、臓器提供のためX+11日に他施設で行ったHBs抗原検査が陽性となったため、予定していた脳死判定を一旦延期した。X+12日にさらに他施設で行った検査でHBV-DNA陰性であったため、X+13日臓器摘出術が行われた。X+11日に行ったHBs抗原検査はcutoff値が異なっていた。厚生労働省の臓器提供者適応基準では、HBs抗原陽性を伴わないことが必要だが、HBc抗体陽性では慎重に適応を決定することとされている。今回、HBs抗原について2施設で異なった検査結果が得られたため臓器提供のスケジュールを変更する事態となった。今後、検査態勢を改善する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s251_2-s251_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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