秋田大学における腎移植レシピエントの妊娠・出産の検討
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抄録
<p>【背景】移植後妊娠に対しては、妊娠合併症の上昇や移植腎に与える影響など懸念事項も多い。【対象と方法】秋田大学で腎移植後に妊娠した6例(7妊娠、6出産、1中絶)について後方視的に検討した。【結果】すべての症例で妊娠の希望があった時点で維持免疫療法をタクロリムス(TAC)、アザチオプリン(AZA)、プレドニゾロン(PSL)の3剤に変更していた。妊娠時の年齢と移植後経過期間の中央値はそれぞれ、34歳(30 - 42歳)、6.3年(2.4 - 11.6年)であった。中絶に至った1例は、妊娠・出産に向けMMFをAZAに変更後から尿蛋白が増加、妊娠時尿蛋白1g/gCr、妊娠5週目には尿蛋白2g/gCrを超え、妊娠継続は困難と判断し中絶になった。残りの5例6妊娠は、無事に出産に至り、自然分娩3例、帝王切開3例であった。早産3例(31週、35週、35週)、正期産3例で、出生体重の中央値は、2581g(1417-2810 g)であった。妊娠合併症は、妊娠高血圧症候群2例、前期破水が2例であった。妊娠前と出産後6ヵ月の移植腎機能(S-Cr)の中央値はそれぞれ1.1mg/dl(0.81-1.42mg/dl)、1.11(0.75-1.77mg/dl)であり、1例はS-Cr1.35→1.77mg/dlと悪化したがその他の症例は著変なく維持されていた。【結語】当院で経験した妊娠・出産症例を報告した。中絶を選択せざるを得なかった症例もあり、安全な妊娠出産のためには、慎重な適応の判断と妊娠後管理が求められる。</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 58 (Supplement), s258_2-s258_2, 2023
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390299673815247104
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可