腎移植レシピエントにおけるCOVID-19ワクチン接種後の獲得免疫の検討

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抄録

<p>目的 腎移植レシピエントのCOVID-19ワクチン接種の効果について検討。方法 腎移植後にCOVID-19のmRNAワクチン3回接種した未感染レシピエント73名と、同じくワクチン3回接種した健常者17名を対象に、抗体価、中和力価、細胞性免疫を検討した。中和力価は武漢型WT、オミクロンBA.1、BA.5の生ウィルスを用いた中和アッセイにより評価した。細胞性免疫はPBMCをWT、オミクロンBA.1、BA.5のスパイク蛋白抗原を含むペプチドで刺激し、細胞内染色を用いて活性化CD4/CD8メモリーT細胞を評価した。オミクロン対応ワクチンを追加接種したレシピエント20名、健常群7名の抗体価、BA.5に対する中和力価も評価した。結果 レシピエントの年齢中央値は59歳、健常群は35歳であった (p=0.0025)。抗体価中央値はレシピエント91.6AU/ml、健常群369.2AU/mlであった (p<0.0001)。3種類のウィルス株に対する中和力価はいずれもレシピエントで有意に低下していた (p<0.0001)。レシピエントで活性化CD8メモリーT細胞の有意な低下を認めた (p<0.0001)。オミクロン対応ワクチン接種による抗体価、中和力価は両群とも接種前に比べ上昇していたが、その上昇幅はレシピエントで有意に少なかった (抗体価:p=0.0051、中和力価:p=0.0327)。考察 レシピエントはワクチン3回目接種では十分な免疫は得られず、オミクロン対応ワクチン接種による効果も健常群よりも乏しく、ワクチン以外の方法を模索する必要性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s270_1-s270_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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