肝・小腸異時移植を行うも救命できなかった進行性家族性肝内胆汁鬱滞症1型の1例

DOI
  • 柳 佑典
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 出口 晴教
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 中尾 俊雅
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 兒玉 匡
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 小峰 竜二
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 山田 全毅
    国立成育医療研究センター 高度感染症診断部
  • 新井 勝大
    国立成育医療研究センター 消化器科
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

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抄録

<p>【緒言】進行性家族性肝内胆汁鬱滞症1型(PFIC1)は、胆汁酸代謝に関わるFIC1蛋白異常により乳児期から胆汁鬱滞を来たし、肝不全へと進行する。FIC1は肝臓の他、小腸、膵臓等に発現し、様々な肝外症状を伴うため、肝移植のみでは完治しない場合がある。PFIC1に対し肝・小腸移植を行ったが、多くの困難を経験した症例を共有する。【症例】8歳女児。生後6ヶ月にPFIC1と診断。1歳9ヶ月に胆嚢外瘻造設を行ったが、合併症のため短腸症候群となった。TPN依存となり、胆汁鬱滞と成長障害が進行し、8歳時にまず脳死小腸移植を実施。門脈圧亢進症のためSMV-IVC吻合となった。術後門脈血流は乏しく、腸穿孔を経て、肝・腎不全が進行し、術後1ヶ月で生体肝移植を実施。その後も体液管理、経腸栄養確立に苦慮し、早期より脂肪肝を認め、また、膵炎をくり返した。小腸移植1年2ヶ月後に小腸グラフト拒絶を認め、ステロイドパルス、ATGで改善したが、膵炎や浮腫増悪を認めた。その後膵仮性動脈瘤破裂を認め、コイル塞栓術を施行。1年5ヶ月時膵炎、膵出血を認め、内視鏡下乳頭切開、膵管ステント留置を実施。腎不全、肺水腫に至り透析導入。1年7ヶ月時膵仮性嚢胞感染を認め、ドレナージ術施行。敗血症、再度膵出血を認め多臓器不全進行し、小腸移植後1年9ヶ月で死亡した。【結語】PFIC1は肝・小腸移植を含め、多臓器移植の適応も考慮され得る。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s278_3-s278_3, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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