ラット心筋細胞を用いた心停止ドナー冷却保存モデルにおけるトレハロース・プレコンディショニングの細胞生存率に対する影響

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抄録

<p>【目的】天然二糖類トレハロース(Tre)はオートファジー活性化作用を持つ.本研究では,ラット心筋細胞(H9C2)の心停止ドナー(DCD)モデルでTreによるプレコンディショニングの生存率改善効果を検討する.【方法】心筋細胞を30分間低酸素(1%)環境,さらに30分間 PBS培地に入れ替え低酸素虚血環境とした.ここまでの培地にはプレコンディショニングとしてTre(50 mM)又はオートファジー阻害剤クロロキン(CQ; 50μM)を添加.次に,培地をST2液に替え低酸素60分4 ℃で保存.最後に60分37 ℃で通常培養(再灌流).細胞生存率は虚血なしの細胞を100%としてCCK8キットで算出. Control(Tre, CQなし)群,CQ群,Tre群,Tre+CQ群の4群でTukey法により生存率を比較(各群n=6).平均値の差における効果量(Cohen’s d)1.3以上を効果量大と判断.【結果】Control群と比較しTre 群で生存率が有意に高値(53% vs. 83%, d=2.15, P=.006). Tre+CQ群とTre群の比較(70% vs. 83%, d=0.69, P= .40),Tre+CQ群とCQ群の比較(70% vs. 56%, d=1.03, P= .31)では有意差なし.【考察】DCDモデルにおいてTreが細胞生存を増加させることが示唆された.オートファジーの影響に関しては今後さらなる検討が必要である.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s315_2-s315_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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