当院で経験した胆道閉鎖症に対する肝移植後、de novo悪性腫瘍を発症した2例

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<p>【目的】肝移植後の生存期間延長に伴い、晩期合併症として二次発癌が増加し問題となっている。当科では胆道閉鎖症(BA)に対する肝移植後、比較的若年成人でde novo悪性腫瘍を発症した2例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。【方法】胆道閉鎖症に対する肝移植後、de novo悪性腫瘍を発症した2例を検討し、その対策やスクリーニングに関して考察する。【結果】(症例1)BAによる胆汁うっ滞性肝硬変のため、33歳時に脳死肝移植術を施行。40歳時に移植肝評価のため撮影したCT検査で偶発的に左腎に径1cmの腫瘍を認め、ロボット支援下左腎部分切除術を施行した。病理検査でclear cell renal cell carcinoma,pT1aN0M0の診断であった。(症例2)BAによる胆汁うっ滞性肝硬変のため、27歳時に生体肝移植術を施行。40歳時に持続性の下腹部痛を認め、腹部CT検査でS状結腸に腫瘍性閉塞を認めた。造影剤の腸管外漏出所見も認めたため、緊急で横行結腸人工肛門造設術を行った。生検でAdenocarcinomaの診断となり、18日後にS状結腸切除+D3郭清を施行した。病理検査でwell to moderately differentiated adenocarcinoma,pT3N1bM1c1,Stage4であった。【考察】肝移植後は一般の2、3倍の頻度でde novo悪性腫瘍がみられる。BA患者は成人後も小児外科医が中心となって診療を継続している場合も多く,de novo悪性腫瘍対策としてスクリーニングプログラムの作成が必要と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s320_2-s320_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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