保存的加療によって軽快した致死量のイヌサフランの経口摂取によるコルヒチン中毒の1例

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タイトル別名
  • Colchicine poisoning by lethal doses of autumn crocus conservative treatment: A case report

抄録

<p>【背景】イヌサフランはユリ科植物の一種であり,その球根,塊茎にはコルヒチンが含まれる。本邦でも年間2~3例のイヌサフランの誤食,コルヒチン中毒が報告されている。50%致死量は0.5 mg/kgとされ,コルヒチン中毒は時に重篤な転帰をたどることが知られている。今回,われわれは致死量のコルヒチンを摂取したにもかかわらず保存的加療で軽快した症例を経験した。【症例提示】症例は61歳,女性。自宅の庭先に植えてあるユリ根と思われる植物の球根1つを炒めて摂取した。同日夜から嘔気,嘔吐が出現。のちに摂取した植物はイヌサフランであったことが判明し,コルヒチン中毒が疑われた。自宅から持参された球根より,1.6~4 mg/kgのコルヒチンを摂取したと予測された。胃管を挿入し,活性炭の反復投与を行い,集中治療室での慎重な経過観察の方針とし,連日血中,尿中コルヒチン濃度の測定を行った。経過中,消化器症状や骨髄抑制を認めたが第6病日まで活性炭の反復投与を行い,いずれも改善傾向となった。経過良好であり第13病日に自宅退院とした。【結語】イヌサフラン誤食によるコルヒチン中毒の1例を経験した。致死量を超えると推定された摂取量であったが,血中濃度のモニタリングを行い保存的治療で良好な経過をたどった。調理方法が予後に影響した可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

  • 中毒研究

    中毒研究 37 (1), 36-40, 2024-03-10

    一般社団法人 日本中毒学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673816618752
  • DOI
    10.57388/jjct.37.1_36
  • ISSN
    27582140
    09143777
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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