CO-OPを参考にした子ども参加型理学療法の試み~ぼくはケーキがつくりたい~

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> Cognitive Orientation to Occupational Performance (以下、 CO-OP)は作業療法分野で発達性協調運動障害児を対象に開発されたクライアント中心の問題解決型アプローチである。今回その CO-OPを参考に、子どもがやりたいと思う活動を明確化し子ども主体に問題解決を行うことで子ども参加型の理学療法を実施することができ成果が得られたので報告する。 </p> <p>【方法および症例】</p> <p> 症例は介入時7 歳5 ヶ月の脳性麻痺痙直型両麻痺の男児 (GMFCSレベルⅡ、MACSレベルⅡ)。通常学級に在籍する知的な遅れのない小学2年生。介入期間は20XX年6月~8月の2ヶ月間。週1回、40分で実施。 評価指標にはカナダ作業遂行測定 (以下、COPM)とGoal Attainment Scale (以下、GAS)を用いた。最初にCOPMを用いて達成目標と「重要度、遂行度、満足度」を確認し、GASにて達成目標の段階付けを行った。児が達成したい目標は「1人でチーズケーキをつくりたい」であった。その中で児と話し合って「一連の作業を立位で疲れずに成し遂げる」「フードプロセッサーから焼き型へ一人で移し替える」の2項目が短期目標になった。 </p> <p>【結果および経過】</p> <p> 本児と考えた作戦「休憩するタイミングをみつけていこう」 「何度もつくってみよう」「足台をしっかりしたものに変えよう 」を実践した。その結果「一連の作業を立位で疲れずに成し遂げる」 (遂行度6→1、満足度5→0)、「フードプロセッサーから焼き型へ一人で移し替える」 (遂行度5→6、満足度1→2)に変化した。目標としていたケーキは自分でつくることができるようになった。また、立位バランスへ注意が向きやすくなり、児自ら休憩をとることや道具の工夫なども考えていけるようになった。加えて、介入結果に対する母親の満足度は高かった。 </p> <p>【考察】</p> <p> 今回疲労に関する遂行度、満足度が介入前に比べ低下した。この結果は、介入の進行とともに全ての工程を初めて一人でやり遂げる中で作業の大変さや疲れを感じたことが原因と考える。しかし、実際の生活に近づけた支援を取り入れたことで、生き生きと通ってくる姿や「こんな風にやってみよう」と自分で考えていくことが増えたと実感している。 今回の経験を通して、①PT室内と実際の生活場面の姿が違うのでは?②本人が「やりたい」こととPTの目標は違っている?ということを考えさせられた。今後子どもたちの生活上の困り感や児のやれるようになりたいことを大切に支援していきたい。今回の「ケーキ作り」という活動は、一見OTが取り組む課題でありPTの課題としてはあまり考えられてこなかった課題であるが、その中にPTとして促したい運動の要素を含めることが十分にできた。また、運動パターンの改善を主眼に置いたアプローチよりも、活動の成功を目指した介入の方が細かい成功を見つけて褒めることができ、子どものモチベーション及び子どもの問題解決能力向上の援助を行うことができた。CO-OPを参 考にしたアプローチは、簡単ではないがPTにおいても非常に有用であると考える。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>今回の発表にあたって、児および保護者に発表の内容を丁寧に説明後、書面を用いて同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 130-130, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673817200768
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_130
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ