小児の理学療法介入におけるCOPMの有用性の検討
抄録
<p>【はじめに,目的】</p> <p> 発達障害児や診断名のついていない発達遅滞児では,Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)やこどものための機能的自立度評価法(Functional Independence Measure for Children:Wee FIM)などの従来の評価方法で把握することが 難しい問題点が多く存在する.Canadian Occupational Performance Measure(COPM)では,様々な障害,すべての発達段階の患者(クライエント)を対象に,作業遂行に対する本人または家族の捉え方の変化を測定することができるとされ,クライエントの問題点を柔軟に把握することができる.COPMは身近にいる人を回答者にできるため,重症の障害をもつ場合やコミュニケーションが十分に取れない場合にも回答可能とされている.児の機能・構造上の問題点だけでなく,日常生活や活動・参加,社会生活上の問題点を把握するためにCOPMは有用とされているが,我が国での小児に対するCOPMを使用した報告はそれほど多くない.本研究はCOPMの変化から,小児の理学療法介入上での COPMの使用の有用性について検討することを目的とした. </p> <p>【方法】</p> <p> 対象は2021年12月から2023年4月に,東京リハビリ整形外科クリニックおおたに外来通院している12歳以下の児の保護者とし ,COPMに回答していただいた.分析対象は30名の保護者とした. 1度目の回答から1年間介入を行った後に再評価を行った.測定項目は生活年齢, COPMの問題点抽出の際に最も課題であると回答した問題点の遂行度,満足度,分類,介入後の遂行度・満足度とその変化率とした.回答された問題点に関して,分類をもとに運動・活動・ADL群 (活動群15名,平均年齢7.2±1.9歳)と認知・言語・コミュニケーション群 (社会性群15名,平均年齢4.9±2.6歳)の2群に分け,介入前後の遂行度・満足度と分類の違いに対して反復測定二元配置分散分析を行った.また, 生活年齢と遂行度 ・満足度の変化率に関して,Pearsonの相関係数を用いて検定を行った.統計処理にはExcel Ver.2304を使用し,有意水準は5%とした. </p> <p>【結果】</p> <p> 遂行度・満足度では介入前後に主効果を認めた.遂行度・満足度では,分類の違いと介入前後との間に交互作用は確認されなかった.また, 生活年齢と遂行度・満足度の変化率の間に相関関係は認められなかった.遂行度では活動群にて介入前後で4.13± 2.59から5.33±2.47, 社会性群にて3.47±1.64から5.87±2.23 と両群ともに介入後に有意に向上した.満足度では活動群にて介入前後で3.47±2.77から4.33±2.35,社会性群にて3.93±2.60から5.93±2.40と両群ともに介入後に有意に向上した. </p> <p>【考察】</p> <p> 介入前後のCOPMの遂行度・満足度の変化から,小児の理学療 法介入上でのCOPMの使用は有用であると示唆された.また,介入前後での変化を本人やご家族と数値を用いて共有できる点が大きな利点ではないかと考える. </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究はヘルシンキ宣言に則り実施した。対象である保護者には口頭と書面で説明し、承諾を得て実施した。本研究への協力を断っても、今後の診療や通院には一切の支障がないこと、一度同意した後でも同意を撤回できることを口頭と書面にて伝えた。</p>
収録刊行物
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- 小児理学療法学
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小児理学療法学 2 (Supplement_1), 167-167, 2024-03-31
一般社団法人 日本小児理学療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390299673817220992
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- ISSN
- 27586456
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可