極・超低出生体重児の入院期間と理学療法評価の関連

DOI
  • 成瀬 健次郎
    鳥取大学医学部附属病院 リハビリテーション部
  • 和田 崇
    鳥取大学医学部附属病院 リハビリテーション部
  • 三浦 真澄
    鳥取大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター
  • 尾﨑 まり
    鳥取大学医学部附属病院 リハビリテーション部 鳥取大学医学部附属病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【目的】</p> <p> 新生児集中治療室 (Neonatal Intensive Care Unit:NICU)に2ヵ月以上長期入院する新生児の約6割が低出生体重児である。低出生体重児のうち極・超低出生体重児は未熟な臓器や器官系の機能不全による合併症が生じやすく、NICU入院中は合併症の治療が必要となる。染色体異常、神経筋疾患、脳血管疾患は NICUでの入院を長期化させる因子だが、それらの疾患を除外しても極・超低出生体重児は入院が長期化することを臨床で経験する。本研究は、染色体異常、神経筋疾患、脳血管疾患の診断がない極・超低出生体重児に対する理学療法評価が入院期間に関連するか調査した。 </p> <p>【方法】</p> <p> 研究デザインは後方視的観察研究である。対象は鳥取大学医学部附属病院周産期母子医療センターNICUで2018年2月から 2021年11月までにリハビリテーションを受けた出生時体重が 1,500g未満の極・超低出生体重児である。退院までに染色体異常、神経筋疾患、奇形症候群、脳室周囲白質軟化症、脳室内出血、低酸素性虚血性脳症と診断された児を除外した。対象の基本情報、周産期情報、入院日数、ポジショニング用具の使用日数をカルテから情報収集し、周産期情報として分娩の種類、アプガースコア、呼吸器疾患などの合併症を調査した。理学療法評価は初回介入時と退院時の評価結果を用いた。新生児自発運動評価 (General Movements:GMs)はWrithing MovementsまたはFidgety Movementsを定型発達、それ以外を非定型発達に分けた。Modified Ashworth Scale (MAS)は頸部 (屈曲・伸 展・回旋)、上下肢 (屈曲・伸展)を評価した。スピアマンの順位相関係数を用いて入院日数と各変数との関連を解析した。有意水準は5%とした。 </p> <p>【結果】</p> <p> 対象は30名 (男児15名、女児15名)で極低出生体重児が12名、超低出生体重児が18名であった。極・低出生体重児の各変数の中央値は在胎週数が29週2日、出生時身長が32.1cm、出生時体重が940gであった。入院期間中央値は75日 (四分位範囲: 61.8日-124.8日)であり、極・超低出生体重児の入院期間と有意な正の相関を示したのは、ポジショニング用具の使用期間 (r=0.729)、退院時の頸部伸展に対するMAS (r=0.512)、退院時 GMs (r=0.680)であった。有意な負の相関を示したのは出生時の身長(r=-0.500)、体重 (r=-0.626)、在胎週数 (r=-0.504)、5分値のアプガースコア (r=-0.495)であった。 </p> <p>【考察】</p> <p> 本研究の結果から、極・超低出生体重児に対する理学療法評価の一部が入院日数と有意に相関することが示された。出生時の身長、体重が小さい、在胎週数が短い、5分値のアプガースコアが低いことはNICUに入院する極・超低出生体重児にとって長期入院の因子となる可能性がある。また、極・超低出生体重児が姿勢を保持できるようになるまで時間を要することや頸部伸展の筋緊張亢進、異常な自発運動がみられるという発達的特徴を持っている可能性が示唆された。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を得て行った (承認番号:No.22A173)。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 44-44, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673817236480
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_44
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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