視覚関連の症状がある児童に対するアイトラッカーを用いたデジリハアプリでの介入効果

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> ゲーム技術は、小児患者や高齢患者問わずに、身体機能の向上や心理的な動機付けとして有用と言われており、未就学児から青年期まで幅広い子どもを対象とした、新しい技術を導入した機器開発が求められている。日本では特に障害児向けに開発されたリハビリテーションのためのゲーム技術に、2021年に発売が開 始されたDigital Interactive Rehab ilitation System(デジリハ)があ る。デジリハは、一般に販売されているセンサーを基にゲームが作成されており、小児期から高齢期まで、リハビリテーションへの応用性は高い。今回、眼球運動の感知センサーであるT obii Ey e Tracker(Tobii社製)を用いて、 3名の視覚関連の症状がある児童に対し、眼球運動を促すデジリハゲームを実施し、眼球運動や注意機能、日常生活に一定の効果を得たので報告する。 </p> <p>【方法および症例報告】</p> <p> 対象は放課後等デイサービスを利用し、視覚関連の症状がある児童3名(7~10歳)とした。研究デザインは、ABAデザインとし、介入期には眼球運動を促すデジリハゲームを1回5~ 10分、週に2~3回実施した。ベースラインを1~2週、介入期間を8週、経過観察期間を4週とした。評価項目は対座法での視野検査と注意機能検査であるTrail making test(TMT)、学童期用視覚関連症状チェックリスト(V APCL)として、ベースライン、介入6週後、9週後、12週後の計4回実施した。 </p> <p>【結果および経過】</p> <p> 介入前のVSPCLの総得点は平均58.7点であり、全ての児童がカットオフ値を越えていた。介入後は37.7点に低下し、日常生活での視覚関連の症状が軽減した。最も総得点が改善した児童は55点から29点に変化した。また、介入後の読み書き関連の視活動と注視関連の症状が、カットオフ値未満に改善した児童がいた。TMTが介入前後で改善した児童は2名であった。その内1名は、TMTーAにおいては22.2秒、 TMTーBにおいては83.4秒改善した。視野検査では3名に眼球運動の改善があった。 </p> <p>【考察】</p> <p> 視覚関連の症状がある児童に対して、デジリハゲームを活用した眼球運動を8週間実施した。その結果、3名とも眼球運動の改善があり、日常生活での視覚関連の症状が軽減した。また、 2名に注意機能の改善があった。視覚センサーを用いたことにより、より正確な視覚からのフィードバックを得られ、効果的な介入に繋がったと考えられる。デジリハゲームを活用することにより、日常生活での見る活動において何らかの困難を示す状態を改善する、効果的な介入が実施される可能性が示唆された。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究は福島県立医科大学倫理審査委員会の承認後(承認番号:一般2022‐006)、対象者である保護者には口頭と書面で説明し、承諾を得て実施した。本研究への協力を断っても、今後の診療や通院には何ら支障のないこと、一度同意した後でも同意を撤回できることを口頭と書面にて伝えた。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 60-60, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673817245312
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_60
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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