プレゼンティーズム改善を目的とした腰痛予防教育の取り組み ~航空機部品製造業現場作業者に対する事例~

DOI
  • 近藤 晃弘
    株式会社フィジオリハ 代表 ヘルスクリエーション株式会社 Meey's
  • 増岡 祐依
    ヘルスクリエーション株式会社 Meey's
  • 永田 幸司
    リハビリ特化型デイサービスゆずの花 管理部
  • 石川 浩二
    三菱重工業株式会社 大江西健康管理チーム 産業医

抄録

<p>【目的】</p><p> 我が国では高齢化・出生率の低下に伴い生産年齢人口が減少し、先進国と比べても顕著である。企業は労働者の確保だけではなく、労働生産性向上に目を向け、安全で効率よく働ける環境を整備するかが課題である。アブゼンティーズムよりもプレゼンティーズムの方が経済損失は大きいと報告されている。プレゼンティーズムの原因には内科的疾患やメンタルヘルス、運動器の問題など様々あり、腰痛はその代表的な疾患の1つである。製造業では腰痛の有症率は高く何らかの対策が必要である.本研究の目的は腰痛予防教育後の短期成績について調査することである. </p><p>【方法】</p><p> 対象は航空機部品製造業の男性現場作業者41名,平均年齢 43.0歳,身長169.6cm,体重69.2kg,BMI23.9kg/m2とし た.実技を交えた60分の腰痛予防教育を行った後,腰痛に関する自記式アンケートを配布し郵送で回収した.講義実施後3ヶ月以内にアンケートを再度配布し郵送で回収した.アンケート内容は,1)疼痛評価はVisual Analogue Scale:VAS,2)腰痛スコアはOswestry Disability Index 2.0:ODI,3)運動療法の実施頻度は毎日,1~2回/週,1回/2週,1回/月,行っていない,とした.実施頻度が1回/2週以上であった者を実施群,1回/月以下であった者を非実施群に分類した.講義直後の2群間 の各スコアの差,2群の講義直後と3ヶ月後の各スコアの差を比較した.統計にはマンホイットニ-のU検定,ウィルコクソン符号付順位和検定を用い,危険率は5%とした. </p><p>【結果】</p><p> 講義直後の実施群と非実施群の各スコアはVAS (p=0.51)ODI (p=0.06)ともに群間差はなかった.2群の各スコアの差は, VASは実施群で講義直後18.4±20.1mm,3ヶ月後10.3± 14.4mm (p=0.03),非実施群で講義直後14.0±17.2mm,3ヶ月後12.5 ±14.3mm (p=0.81)であった. ODIは,実施群で講義直後 12.2±8.8点,3ヶ月後4.3±5.1点 (p=0.0002),非実施群で講義直後8.1±9.5点,3ヶ月後4.4±5.5点 (p=0.01)であった. </p><p>【考察】</p><p> VASは実施群のみ有意に改善し,ODIは実施群・非実施群ともに有意に改善した.運動療法は疼痛に対して効果的であると考えられた.また,腰痛予防教育を行うことは運動療法の実施頻度に関係なく一定の短期的な効果があると推察された. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>三菱重工業株式会社倫理委員会の承認を得たのち、参加者に書面にて説明と同意を得た.</p>

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