回復期リハビリテーションから一歩踏み出した通いの場立ち上げ支援の実践活動

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  • 羽中田 賢
    医療法人社団 健育会 竹川病院 リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに】</p><p>回復期リハビリテーション (以下リハ)病院は急性期と生活期の中間に位置し,多職種がチームで集中的,且つ積極的なリハを実施し,心身共に回復した状態で自宅や住み慣れた地域へ戻って頂くことを目的としている.近年入院患者は高齢化,重複疾患化,認知症併存,老々介護,独居など多くの制約因子が複雑に絡んでいる.また退院患者の中には,介護保険非該当者や介護保険サービスの利用に消極的な者も散見され,退院後に参加する場所の提案などに難渋する事が多い.したがって在宅生活や地域活動の参加を視野に入れ,介入・助言等や介護予防活動に繋ぐ働きかけが求められている.東京都板橋区では区内に従事するリハ専門職で組織した「板橋区地域リハネットワーク」が住み慣れた地域で活き活きと自立した生活を送れるよう,高齢者の居場所と出番作りに着目した住民運営自主グループの支援を行政職員と協働して取り組んでいる.今回は回復期リハから一歩踏み出した介護予防活動を以下に報告する.</p><p>【活動】</p><p>群馬県鬼石市 (現藤岡市)で効果が実証されている住民主導型介護予防事業「鬼石モデル~高齢者の暮らしを拡げる10の筋トレ~」の事業スタイルをモデルとして都市部における特徴をふまえた「板橋モデル」として2017年度より活動している. 活動としては,通いの場の「立ち上げ支援」「継続支援」を中心に行った.立ち上げ支援では介護予防の必要性,運動の効果,地域コミュニティの重要性について講義を行う事で住民の活動意欲を引き出し,継続支援では区内4地区に分け「地区合同筋トレ」を開催し,介護予防の知識を深めると共にモチベーション維持,グループ同士の交流を深め地域の繋がりを感じて貰えるよう支援している.またコロナ禍で仲間と集まる事が難しい状況でも,体力や他者交流を維持する方法として,2020年10月よりZOOMを用いた「オンライン10の筋トレ」を展開している.</p><p>【結果】</p><p>2023年3月現在,区内97グループ・約1740人が活動している.オンライン10の筋トレの登録者は94人となった.</p><p>【まとめ】</p><p>介護予防を地域で展開するには地域住民が専門職に何を求めているのかを理解し,行政職員,地域包括支援センター,自治体,住民などの関係者と連携をとる必要性を感じた.今後も介護予防活動や会合に積極的に参加し,地域に根付いた活動が重要だと考える.</p>

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