生活期リハビリテーションから一歩踏み出した地域包括ケアシステムを通じたリハマネジメント

DOI
  • 大沼 剛
    リハビリ推進センター株式会社 板橋リハビリ訪問看護ステーション

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 理学療法士が実践するハビリテーション (以下,リハ)マネジメ ントは,高齢者の尊厳ある自己実現を目指すという観点に立ち,利用者の生活機能向上を実現するため,他職種や家族等と協働して,適切なリハを提供し,利用者の要介護状態又は要支援状態の改善や悪化の防止に資するものである.生活期におけるリハマネジメントは,「介護支援専門員に対するリハの観点からの情報提供」があり,リハに関する専門的な見地から,1.利用者や家族の活動や参加に関する希望及び将来利用を希望する社会参加に資する取組,2.利用者の基本的動作能力,応用的動作能力及び社会適応能力等の日常生活 能力並びにその能力の改善の可能性,3.利用者の日常生活能力を維持又は向上させる介護の方法及び留意点,4.家屋等の環境調整の可能性及び家具や調理器具等の生活用具の工夫,5.その他リハの観点から情報共有をすることが必要な内容,利用者の有する能力,自立のために必要な支援方法及び日常生活上の留意点に関する情報提供を行うことが求められている.そこで板橋区地域リハビリテーションネットワークでは,板橋区と連携して,リハサービス調整会議に毎回参加すると共に,地域包括支援センター職員や介護支援専門員に対する相談事業を平成29年度より行ってきた.そこで,日々の業務から一歩踏み出した予防活動としてのリハマネジメントの実践を報告する. </p><p>【活動内容】</p><p> 相談事業は,電話による相談と対象者宅に実際に訪問して行うリハ専門技術支援訪問相談の2つである.地域エリアごとに担 当者を割り振り分担して行い,6年間の実績として,相談事業は合計46件 (平均7.7/年)であり,講話依頼が15件と最も多く,次いでリハ資源についての相談が11件,ケア会議の参加依頼が 9件,制度に関する相談が5件,リハの適応に関する相談が4件,福祉用具相談が2件であった.リハ専門技術支援訪問相談は45件 (平均7.5件/年)であった.内容はリハ適応や歩行能力,住宅改修の評価,福祉用具の選定,自主練習指導などであった. </p><p>【まとめ】</p><p> 地域包括ケアシステムにおいて,リハ専門職がリハマネジメン トの一環として,地域包括支援センター職員等から相談を受け,支援することは予防活動を推進していく上でも重要である.今後このような活動が継続的に様々な地域で行われ,必要な方に必要なリハサービスをしっかりと提供し,重度化予防に貢献できることを祈念する. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表は,ヘルシンキ宣言に基づき,地域での実践活動を後方視的に報告するものである.なお,相談者様への侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究等については、国が定めた指針に基づき「対象となる利用者さまのお一人ずつから直接同意を得る必要はありません」が、研究目的を含めて、研究の実施についての情報を公開し、さらに拒否の機会を保障することが必要とされており,当社ホームページにおいてオプトアウトの機会を確保した.</p>

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