東京都北区における継続支援について ~「承認」を意識した主体性を引き出す支援~

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  • 中村 睦美
    東都大学 幕張ヒューマンケア学部 東京都北区福祉部 長寿支援課

抄録

<p>東京都北区の高齢者人口(高齢化率)は、令和5年1月1日現在で 85,394人(24.1%)であり減少傾向にある。しかし、後期高齢者人口や高齢者のみ世帯、要介護・要支援認定者数は年々増加傾向にある。そのような背景を踏まえ、北区地域包括ケア推進計画では、基本目標の1つとして「自立して豊かな高齢期を過ごすために」が設定され、社会参加・介護予防の促進を進めている。 東京都北区では、平成27年度に厚生労働省「地域づくりによる介護予防推進支援事業」のモデル市町村となり、それ以降、住 民主体の通いの場の数の増加だけでなく、質の面からも拡充を進めており、理学療法士をはじめとしたリハビリテーション専門職が通いの場の立上げ支援、継続支援に関わっている。北区担当課は、通いの場を立上げることを目的とした教室を開催し、参加者が介護予防体操を覚え、自主グループを運営する力をつけることで、教室の修了メンバーが中心となった通いの場を立ち上げる仕組みを作っている。この教室から立ち上がった通いの場は、令和5年4月時点で152グループ、参加者は1,595名と なった。 担当課から立ち上がった通いの場では、重錘を使わない介護予防体操である「北区ご近所体操」を用いた体操をメインとした活動を行っているグループが多い。また、比較的少人数 (10名前後)で、DVDなどの動画は見ず、参加者全員で体操パンフレットを読み上げながら輪になって体操を行っているグループが多い。 通いの場の支援でのリハ職の役割として、立ち上げ支援時から 体操の先生として関わることは無く、参加者のやる気を引き出す「唱導」や「そっとあと押しする (ナッジ)」ことが求められ ている。通いの場立上げ後、3ヶ月後、9ヶ月後、その後も希望があれば1年に1回、リハ職と看護職が通いの場への支援を行っている。その際、リハ職は、いつもの活動を参加者と一緒に体験し、より活動内容を効果的なものにするために情報提供やアドバイスを行う。また、継続支援で最も心がけているのは、自主グループ活動が長く継続するために、「調停」と「承認」を行うことである。参加者が継続して行ってきた活動を否定することはせず、活動を「承認」することで参加者がやる気を出し、明日からもまた元気に取り組めるような声かけをしている。しかし、継続支援ではリーダーの高齢化、マンネリ化などの課題があり、より効果的なリハ職の関わりについて模索している。</p>

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