ペットボトル開栓の質問のみで80歳高齢者のプレフレイルが判別できる

DOI
  • 沢谷 洋平
    国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科
  • 広瀬 環
    国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科
  • 石坂 正大
    国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科
  • 橋本 奈織
    大田原市 保健福祉部高齢者幸福課
  • 久保 晃
    国際医療福祉大学 小田原保健医療学部理学療法学科
  • 浦野 友彦
    国際医療福祉大学 医学部老年病学講座

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 著者らは、ペットボトルのふたを開けられないことがサルコペニアと関連し、ふたを開けるために必要な握力が17.7kgであることを証明した (Sawaya et al, Geriatr Gerontol Int 2022)。次の展開として、ペットボトルのふたを開けることに関する質問を開発し、フレイルを予測できるかを調査した。 </p><p>【方法】</p><p> 2023年2月に栃木県A市の80歳全数469名 (要介護認定者除く) に郵送によるアンケート調査を行った。342名から返送があり、辞退・データ欠損・認知症を除いた281名を解析対象とした。参加者は、基本チェックリスト (KCL)から0~3点をロバスト, 4~7点をプレフレイル,8点以上をフレイルと判定された.また、「ペットボトルのふたを開けるのにどれくらい時間がかかりますか?」の質問に、①すぐにできる、②何回か力を入れてできる、③誰かにお願いすることがある、④いつも誰かにお願いする、から返答した。統計解析は、その質問の返答を①群と ②③④群に分け、Receiver Operating Characteristic曲線から KCL得点のカットオフ値、Area Under the Curve (AUC)、感度、特異度を算出した。統計解析にはSPSSver25を用い、有意水準は5%とした。 </p><p>【結果】</p><p> 参加者はロバスト121名 (43.1%)、プレフレイル89名 (31.7%)、フレイル71名 (25.3%)であった。ペットボトルの質問の返答は、 ①194名 (69.0%)、②78名 (27.8%)、③8名 (2.8%)、④1名 (0.4%)であった。KCLの得点は①群4.3±3.7点、②③④群は 6.9±4.2点であった。ペットボトルの質問の返答を①群と②③ ④群に分けるKCL得点のカットオフ値は4.5点 (AUC=0.7、感度 71%、特異度63%、p<0.001)であった。 </p><p>【考察・結論】</p><p> 本結果のカットオフ値の4.5点はプレフレイルの判定基準の4点と近似している。従って、ぺットボトルのふたを開けるのにどのくらい時間がかかりますか?の質問だけでプレフレイルを判別でき、その基準はペットボトルのふたを“すぐに”開けられるかどうかであった。プレフレイルを判別するスクリーニングとして一般化も可能である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究の実施にあたり、全対象者にアンケートに関する説明と回答をもって本研究への参加同意になる旨の説明を書面にて行っ た。本研究は国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を得て行い (承認番号:22-Io-25)ヘルシンキ宣言のガイドラインに基づいて実施した。</p>

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