女性における体組成と骨密度の関係について

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 骨密度と体組成の関係性において、体重や筋肉量は骨密度を増 やす要素としての報告が多いが、脂肪についてはプラスとマイナス双方の要素の報告が混在する。今回20歳から79歳までの 女性の年齢層における体組成と骨密度の関係について調査した。 </p><p>【対象】</p><p> 2010年8月から2018年10月までの間に企業などでの出張測定やセンター内での個別保健指導の際に、体組成測定と骨密度測定を同日に実施した20歳から79歳までの女性1474名とした。 </p><p>【方法】</p><p> 体組成の測定には、BIA法である体成分分析装置インボディ 720を用いた。測定項目は、体重、全身の筋肉量・脂肪量・体脂肪率、上下肢体幹の部位別筋肉量・脂肪量、頚部・胸部・腹部・臀部の周囲長であり、導出項目として骨格筋指数 (SMI)を求めた。なお、体脂肪率が28%以上を「肥満」とし、それ未満を「標準・やせ」として扱った。骨密度の測定には、超音波骨量測定装置ビーナスを用い、右踵で測定し結果の検証には面積率を用いた。分析は体組成を独立変数、面積率を従属変数とした単回帰分析にて検討した。分析は全数、45歳未満、45歳以上の2層に層別化して行った。有意水準はP<0.05とした。 </p><p>【結果】</p><p> 全数で面積率と有意に正に関連したのは、体重、筋肉量、上下肢体幹筋量、SMI、臀部周囲長、負に関連したのは、年齢、体脂肪率、腹部周囲長であった。 45歳未満の層で面積率と正に関連したのは、体重、筋肉量、 BMI、下肢・体幹筋肉量、SMI、頚・胸・腹・臀部周囲長、負に関連したのは無かった。 45歳以上の層で正に関連したのは、体重、筋肉量、上下肢・体幹筋肉量、SMI、胸部周囲長、負に関連したのは、年齢、体脂肪率、肥満であった。 </p><p>【考察】</p><p> 全年代を通して体重は骨密度に対してプラスに関係していたが、体重増加の要因は脂肪ではなく筋肉量によるものと推察された。また、45歳以上の群になると、44歳以下の群では影響の無か った体脂肪率はマイナスの要素として関係しており、更年期以降の肥満が骨密度低下に与える影響が示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本調査で用いたデータは、当施設により企業への出張健康測定、または個人に対する施設内での保健指導により得られたデータ を用いている。企業に対しては測定で得られたデータが将来的に個人を特定しない形で研究等に用いることを事前通達し同意を得た上で測定を実施しており、また個人に対しても施設を利用するに当たり得られた個人情報が予防医療活動研究に利用される旨の包括同意を得ている。</p>

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