COVID-19流行期における通所型サービスC利用前後の身体的変化

DOI
  • 井上 玲花
    社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部
  • 野田 智幸
    社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部
  • 寺園 秀幸
    社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部
  • 阿部 恵梨香
    社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部
  • 山口 美月
    社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部
  • 田中 拓樹
    社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p> 当院では日常生活支援総合事業として行政から委託され,通所型サービスC (以下通所C)の運営を行っている.2019年より COVID-19が流行し,今回流行前・流行時で利用前後の身体機能の変化について調査することを目的とする. </p><p>【方法】</p><p> 当院通所Cは送迎付きで週に1度 (計15回),講義や体操,筋力トレーニング,歩行練習などを約1時間30分行っている.本研究の対 象者は当院通所Cを利用した2016年度21名,2021年度15名とした.測定方法は2016年度, 2021年度利用者の利用開始時と最終利用時での体力測定として握力,開眼片脚立位,Time Up and Go test (以下TUG),30秒椅子立ち上がりテスト (以下CS-30),5m通常・最大歩行,長谷川式簡易知能評価スケール (以下HDS-R)を測定した.統計解析は対応あるwilcoxonの符号付き順位検定を用いた. (有意水準は5%未満) </p><p>【結果】</p><p> 2016年度利用者21名 (男性17名,女性4名)は,年齢79.9 ± 6.1歳, HDS-R中央値24.0四分位範囲〔20.0-26.0〕点, 2021年度利用者15名 (男性7名女性8名)は,年齢78.3±4.6歳,HDS-R28.0 〔24.5-29.0〕点であった.2016年度利用者の結果,握力は24.3 ±7.3㎏から24.8±8.1㎏,TUGは10.0〔7.4-11.4〕秒から8.8〔 7.3-10.3〕秒,CS-30は13.0〔9.0-15.0〕回から13.0〔11.0-17.0 〕回. 2021年度利用者の結果,握力は19.2±10.4㎏から21.2± 7.9㎏,TUGは9.6〔8.9-10.7〕秒から8.8〔8.2-10.8〕秒,CS-30は 10.0〔9.5-13.5〕回から13.0〔11.5-14.5〕回に向上した. 2016年度,2021年度のTUG,CS-30のみで統計学的有意差を認めた. </p><p>【考察】</p><p> 本研究ではCOVID-19流行時も流行前と同様に通所Cを利用することで,身体機能に関して維持または向上することが示唆された .通所C利用者の利用目標が歩行に対しての内容が多く,下肢の筋力トレーニングや歩行練習を主に行っていたためCS-30やTUGは有意差のある向上が認められたと考える. 握力に関しては上肢トレーニングを行えておらず自宅での自主訓練も促せなかったため向上しなかったと考えられる.また,週1回の利用のみでは身体機能維持が困難と考えられ,自宅での活動量向上目的に宿題形式の運動を提供したことが流行期で外出頻度が軽減しても身体機能は維持・向上できていたのではないかと考える. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は当院の倫理審査委員会の承認 (承認番号:青発倫2022-30)を得て実施した.対象者には口頭にて十分な説明を行い,同意を得た.</p>

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