八雲町の学童保育所に通う児童の子どもロコモ実態調査

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 厚生労働省が推進する健康日本 21 (第二次)における健康寿命延伸のための取り組みの一つにフレイル対策がある.フレイルやロコモは高齢者というイメージが強いが,現在では「子どもロコモ」と呼ばれる児童の運動不足による運動器機能低下が危惧されており,ロコモ予備軍を増やさないようにする必要がある. 当院の小児外来リハビリテーションにおいて,基本動作を用いた子どもロコモチェック法を実施した結果,子どもロコモの疑いに該当する症例が散見された.八雲町の学童保育所に通う児童を対象とした対面による調査を行い,八雲町の児童の運動器機能不全の有無,運動器機能の状態について明らかにすることを目的とした. </p><p>【方法】</p><p> 八雲町の学童保育所に通う小学生を対象とした.対象児童に対し『学年』『性別』『スポーツをしているか』『スポーツの頻度』を無記名で質問し,基本動作項目として子どもロコモチェック法『5秒以上片足立ちができるか』『踵を上げずにしゃがみ込むことができるか』『両手を垂直に上げることができるか 』『立って膝を伸ばしたまま前屈し床に指をつけることができるか』の4項目を検査した. 低学年と高学年間、男女間、継続的なスポーツをしているかどうかでの比較に関してカイ二乗検定を行った.(有意水準5%). </p><p>【結果】</p><p> 対象は93名 (男児:46名,女児:47名),基本動作項目を1つでもできない児童は20名(21.5%)であった. 低学年群と比較して高学年群は運動器機能低下が有意に認められた(p<0.01).男女間比較では,女児と比較し男児の運動機能器低下が有意に認められた(p<0.01).継続的なスポーツをしているかどうかは運動器機能低下との有意な関連が認められなかった.また柔軟性項目が1つでもできない児童は19名(20.4%)であった. </p><p>【考察】</p><p> 体格や性差が児童の柔軟性に関連すると言われており,本調査の結果と概ね一致した.またスポーツと運動器機能の関連について,体育授業や部活動等において必要とされる準備運動やクールダウンを適切に実施していないことで,筋の伸張性が低下している可能性が要因の1つとして考えられる.また本調査において対象数が少ないことによるバイアスが考えられるため,対象数や評価項目を増やす等をした再調査を行い実態の把握・理解をより深めていく必要があると考える.さらには地域活動により,八雲町児童に低下が見られた柔軟性の向上を図っていきたい. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は院内上層部の許可を得て,ヘルシンキ宣言に基づき実施した.本研究参加者には研究目的,方法について口頭・書面にて説明を行い,同意を得た.また,対象者の個人情報を匿名加工することによって,対象者が特定されないように配慮し た.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ