健康被害予防のためのストレスコーピングと社会関連資本の重要性 -コロナウィルスとの共存生活に向けて-

DOI
  • 世古 俊明
    北海道千歳リハビリテーション大学 健康科学部リハビリテーション学科
  • 小川 峻一
    北海道千歳リハビリテーション大学 健康科学部リハビリテーション学科
  • 三浦 紗世
    日本医療大学 保健医療学部リハビリテーション学科
  • 森 満
    北海道千歳リハビリテーション大学 健康科学部リハビリテーション学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>これまでにコロナ禍によるストレスや孤立は,人々の健康被害をもたらしてきた。今後,コロナウィルスとの共存生活におけるストレスへの対処行動 (コーピング)や,社会的側面としての社会関連資本は,健康被害の予防に重要と考える。本研究では,地域住民を対象にコーピングまたは,社会関連資本が強いことが健康悪化のリスクを低下させるかを検証し,今後の健康被害の予防施策に一助を得ることを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p>本調査は2022年10月に実施され,前年の初回調査で回答を得た1,429名のうち,1,282名 (男性48.0%,平均年齢 57.9歳)を解析対象とした。本調査では,ストレスに対する対処行動として,積極的コーピング (問題解決に直接関与する行動)または回避的コーピング (不快な事から逃避する行動)を行 っているか,社会関連資本 (信頼関係,社会的支援,社会参加)を有しているか,身体的健康度 (6項目:全身,食欲,睡眠,痛み,幻暈,疲労),精神的健康度 (7項目:退屈,うつ,不満,不安,消極,億劫,無口)などを調査した。身体的,精神的健康度は,各項目で否定的の場合を1点として点数化した。統計解析は,重回帰分析によって交絡要因を調整した身体的,精神的健康度に対するコーピングと社会関連資本の関連を性別で検討した。なお交絡要因は年齢,生活習慣,既往歴とした。 </p><p>【結果】</p><p>身体的健康度不良に対して,男性では積極的コーピング (β=-0.13),社会的支援 (β=-0.27),社会参加 (β=-0.25)が,女性では社会的支援 (β=-0.24)がいずれも有意な負の関連があった。精神的健康度不良に対して,男女ともに積極的コーピング (β=男性:-0.27,女性:-0.34),信頼関係 (β=-0.26, -0.40),社会的支援 (β=-0.86,-1.24),社会参加 (β=-0.52, -0.38)が,また女性では回避的コーピング (β=-0.15)も,いずれも有意な負の関連があった。 </p><p>【考察】</p><p>女性は相反するコーピング戦略が精神的健康に影響する可能性があり,ストレスの状況に応じたコーピング方法を選択すること,男性ではストレスに対して問題解決型アプローチや自己効力感を高めることが重要と考えられる。また、男女ともに社会関連資本の充足は健康悪化のリスクを低下させる可能性があり,特に男性では社会参加に対するアプローチの必要性が示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>北海道千歳リハビリテーション大学倫理員会の承認済 (R02101)</p>

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