補完代替リハビリテーションを用いた入院患者の活動低下予防に対する効果検証

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>当院地域包括ケア病棟 (以下,包括病棟)患者は自宅または施設からの直接入院が約80%を占めている.患者のうち,個別リハビリ (以下,個別リハ)のみの介入では充分な機能改善が困難な患者が認められた.退院時Barthel Index (以下,BI)の内訳では40点以下の患者が約20%を占めている.その様な患者に対して令和4年2月から補完代替リハビリテーション (以下,CARB)による集団リハビリ (以下,集団リハ)を導入し,機能改善と身体活動の確保を図った.</p><p>【方法】</p><p>入棟者のうち,入棟時BI40点以下の患者を中心に個別リハに加え,集団リハを追加実施した.集団リハは週5回,1回あたり1時間実施した.内容は体操 (上下肢2種類),レクリエーション,認知課題 2~3種類を実施した. 対象者は94名,平均年齢86.0±7.5歳であった.介入前後の評価として,認知症の行動・心理症状評価票 (以下,BPSD+Q),退院時BIを評価した.有意判定は対応のあるt検定を行い,有意水準は 0.05とした.評価期間は令和4年2月1日~令和5年1月31日とした.</p><p>【結果】</p><p>一人あたり平均実施回数は5.1±5.0回であった. BPSD+Qの結果は介入前後で介護重症度7.4±9.3回→6.5±8.3回 (p<0.05),負担度7.2±9.2回→5.9±7.8回(p<0.05)と共に有意に改善がみられた.BPSD+Qにて介入後悪化したものが2名あった. 退院時BI40点以下患者の平均点は令和1~3年度17.1点,令和4年度18.1点 (p>0.05)であった.</p><p>【考察】</p><p>介護重症度,負担度が改善した要因として,個別リハによる身体機能改善に加えてCARBによる認知,身体活動量増加が一因であったと考える. 集団リハの実施時間を統一して毎日実施することで,入院中の生活リズムが整い,患者の精神的安定が得られた可能性も考えられる.そのため,今後は病棟での活動表や認知機能評価を行い,関連を検証する必要があると考える. 評価結果にて悪化が認められた患者については,入院中に誤嚥性肺炎等により病状が悪化したものであり,集団リハのみによる評価結果の悪化は認められなかった.</p><p>【結論】</p><p>今回,入院に伴う活動低下予防のため,個別リハに加えCARBにて集団リハを実施した. 集団リハ併用により介護重症度,負担度共に改善がみられた.低活動傾向の患者に対する内容の充実が課題となった.</p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は当院倫理委員会において承認を得ている.また,評価結果の集計に個人が特定できないように配慮した.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ