回復期リハビリテーション病棟の高齢整形外科疾患患者におけるADL自立と加速度計付活動量計を用いた身体活動持続時間との関係 ―横断研究―

DOI
  • 清水 智子
    公益財団法人結核予防会新山手病院 リハビリテーション科 東京都立大学大学院 人間健康科学研究科
  • 金井 千秋
    公益財団法人結核予防会新山手病院 リハビリテーション科
  • 浅川 康吉
    東京都立大学大学院 人間健康科学研究科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 身体能力の主な指標は歩行・バランス・筋力など多くあるが、回復期リハビリ病棟の高齢整形外科疾患患者において入院初期のADL介助量の多い時期から評価できる身体能力の指標は少ない。ADLと関係する入院初期から継続評価できる身体能力の指標は治療の効果判定にも有用である。本研究の目的は,加速度計付活動量計で入院時と退院時に計測した身体活動量から算出した動作持続時間について、ADL自立度に対する影響を調べ,動作持続時間とADL自立の関係を明らかにすることである。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は回復期リハビリテーション病棟入院中の65歳以上の整形外科系疾患患者とした。アウトカムはADL自立度、要因は年齢、身体活動量とした。ADL自立度はFIM-m 13項目 各項目7-1点 について、各項目の得点が7-5点を介助不要,4-1点を要介助の 2群に分類した。身体活動量の計測はActive style Pro HJA-750C (OMURON Health Care Co. Ltd., Kyoto, Japan)を用 い、入院直後および退院直前の3日以上の9時から17時までの身体活動を計測した。動作持続時間の集計は低強度活動以上 (1.6METs以上)の活動強度の連続時間 (10秒単位)について計測時間1時間当たり平均1回以上出現した値を解析に用いた。統計解析はロジスティック回帰分析を用いてADL自立に対する動作持続時間の影響を検討した。FIM-mの項目ごとの自立/非自立をダミー変数化し、動作持続時間と年齢について、入院時および退院時の各項目別に得られた回帰係数のz値 (回帰係数を標準誤差で割った値)について検討した。統計解析にはJASP 0.17.2 (JASP Team(2023), JASP (Version 0.17.2) [Computer software])を用いた。 </p><p>【結果】</p><p> 対象者100名、平均年齢83.1±6.8歳、動作持続時間は、入院時では中央値160秒、退院時では中央値190秒だった。ロジスティック回帰分析の結果最もz値が大きかったのは、入院時では排尿管理 (z=3.62)で、移乗 (z=3.02)は13項目中3番目,歩行/車いす (z=2.32)は7番目だった。退院時では歩行/車イス介助不要のz値が大きかった (z=2.23)。 </p><p>【考察】</p><p> 回復期リハビリ病棟における整形外科系疾患患者の1時間当た り最大の動作持続時間は百数十秒と短いことが明らかになった。入院初期では動作持続時間は排尿管理に影響があり、ADLと関係する指標であることがわかった。 </p><p>【結論】</p><p> ADL障害がある高齢整形外科疾患患者において、動作持続時間の評価はADLに関連する有用な指標となる可能性がある。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は実施施設の倫理審査委員会の承認 (承認番号19001),および,東京都立大学荒川キャンパス研究倫理委員会の承認 (承認番号20038)を得て実施した.参加者には書面および口頭で研究の内容・趣旨を説明し,書面にて同意を得た.</p>

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