ウォーキング嗜好高齢者の体力・運動能力の傾向

DOI
  • 神田 岳
    医療法人五紘会 東前橋整形外科病院 診療技術部リハビリテーション科 NPO法人前橋・在宅ケアネットワークの会 健康増進部会
  • 小保方 祐貴
    医療法人五紘会 東前橋整形外科病院 診療技術部リハビリテーション科 NPO法人前橋・在宅ケアネットワークの会 健康増進部会
  • 釜谷 邦夫
    NPO法人前橋・在宅ケアネットワークの会 健康増進部会 医療法人五紘会 東前橋整形外科病院 整形外科

抄録

<p>【目的】</p><p> ウォーキングは種々の効果が報告がされており、健康増進目的にウォーキングを嗜好する高齢者は多い。しかし、ウォーキング嗜好高齢者の体力に関する報告は少ない。そこで、本研究は地域在住のウォーキング嗜好高齢者に対してスポーツ庁の体力 ・運動能力調査 (以下、体力調査)の一部を実施することで、体力・運動能力の傾向を調査することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象はNPO法人主催のウォーキングイベントに参加したウォーキングを嗜好する65歳以上の高齢者32名 (男性12名:平均 73.0歳。女性20名:平均73.5歳)。方法は体力調査の中から実施可能だった(1)握力、(2)上体起こし、(3)長座体前屈、 (4)開眼片足立ち、 (5)6分間歩行とした。対象者を体力調査の年代カテゴリー (65~69歳、70~74歳、75~79歳)に分け、年代ごとの各項目の平均値と令和3年度体力調査報告の各年代の平均値より高値であった者の割合を算出した。統計学的解析は記述統計とした。 </p><p>【結果】</p><p> 年代ごとの各項目の平均値 (男性、女性)は、【65~69歳】 (1)38.9±6.8㎏、23.6±2.2㎏、 (2)17.0±2.6回、6.6±4.3回、 (3)31.3±12.7㎝、31.6±12.6㎝、 (4)115.7±7.5秒、93.0± 34.9秒、 (5)726.3±40.6m、653.8m±48.0m、【70~74歳】 (1)42.2±9.6㎏、23.0±3.2㎏、 (2)13.3±8.8回、10.7±8.6回、 (3)26.5±9.7㎝、39.1±9.1㎝、 (4)72.5±56.6秒、84.6± 43.4秒、 (5)677.0±107.8m、651.3m±49.5m、【75歳~】 (1)34.5±7.2㎏、21.9±3.1㎏、 (2)11.8±11.3回、7.1±7.3回、 (3)32.6±6.5㎝、39.1±8.0㎝、 (4)80.6±47.7秒、48.3± 44.8秒、 (5)677.0±129.2m、634.6m±78.8mであった。令和3年度体力調査報告の各年代の平均値より高値であった者の割合 (男性、女性)は (1)58.3%、35%、 (2)50%、50%、 (3)25%、50%、 (4)66.7%、45%、 (5)83.3%、90%であった。 </p><p>【考察】</p><p> 令和3年度体力調査報告の各年代の平均値より高値を示した者の割合は、6分間歩行で男女共に高い割合であった。本研究の結果より、ウォーキング嗜好高齢者は、同年代と比較して歩行機能は良好である傾向が示唆されたが、その他の体力・運動機能要素は同程度の傾向であることが考えられた。これは地域在住高齢者におけるウォーキング実施率と運動機能との関連を調査した先行研究と同様の傾向を示した。本研究の限界として、ウォーキング嗜好以外の集団背景が不明なことが挙げられる。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者に対して口頭にて研究の概要を説明し、書面にて同意を得た。</p>

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