要介護認定者における通いの場継続年数の違いによる心身機能の比較

DOI
  • 谷津 圭祐
    イムス札幌訪問看護ステーション リハビリテーション科 一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会
  • 樫木 雅美
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 北樹会病院 リハビリテーション科
  • 佐藤 佑樹
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 社会福祉法人 協立いつくしみの会 リハビリテーション部
  • 佐藤 佑太朗
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 新さっぽろ脳神経外科病院 リハビリテーション科
  • 福嶋 篤
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 公益社団法人北海道理学療法士会 事務局
  • 松岡 寛樹
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 札幌西円山病院 理学療法科
  • 松田 涼
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 新さっぽろ脳神経外科病院 リハビリテーション科
  • 渡邊 康介
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 イムス札幌消化器中央総合病院 リハビリテーション科
  • 髙島 理沙
    北海道大学 大学院保健科学研究院
  • 澤村 大輔
    北海道大学 大学院保健科学研究院

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 地域高齢者が通いの場に継続的に参加することによる恩恵は多 くの研究で報告されている。これらの多くは要介護認定を受けていない高齢者が対象だが、要介護認定高齢者においても社会参加の継続に繋がり、介護予防としての効果が期待される。要介護認定高齢者は要介護認定を受けていない高齢者と比較し、通いの場への参加継続に何等かの支援を必要とするものが多いことが予想されるが、その報告は少なく実態も把握できていない。通いの場に参加継続している要介護認定高齢者の特徴を把握することで、少しでも多くの要介護認定高齢者が通いの場に参加継続するための支援策考案の一助となることが期待される。そこで、本研究では札幌市の通いの場に継続参加する要介護認定高齢者の心身機能の特徴を把握することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は、札幌市の事業として実施した通いの場に参加する要支援・要介護認定を受けている65歳以上の地域高齢者で、収集された以下のデータにおいて欠損値がなかった273名とした。山 田らの報告をもとに通いの場への参加継続年数4年以上、4年未満の群に群分けした。調査項目は年齢、性別、BMI、要介護度、既往歴、指輪っかテスト、後期高齢者の質問票の各回答、5回 立ち座りテスト、5m最大歩行速度、TUG、握力とした。 統計解析は、継続4年以上群と4年未満群の2群比較に2標本の t検定もしくはMann‒Whitney U test、カイ二乗検定もしくは フィッシャーの正確確立検定を用い、有意水準は5%とした。 </p><p>【結果】</p><p> 継続4年以上群 (167名)で有意に年齢が高かった (p<0.01、効果量(r)=0.40)。既往歴では骨・筋肉・関節の痛みが有意に少なかった (p<0.01、φ=0.19)。身体機能では5回立ち座りテストが有意に速かった (p<0.05、r=0.84)。 </p><p>【考察】</p><p> 札幌市の通いの場において、要介護認定高齢者が4年以上の長期間の参加継続するためには、運動器疾患の既往や立ち上がり能力が重要となる可能性が示唆された。理学療法士は、要介護認定高齢者における継続的な通いの場への参加から介護予防の取組までを総合的に支援することが期待されている。これらの要因に着目して要支援・要介護状態の高齢者を通いの場で支援することで、比較的高齢であってもその継続可能性が期待できること、また継続参加による恩恵も受けられる可能性が示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】【倫理的配慮、説明と同意】</p><p> ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。取得したデータは連結不可能匿名化されており,データの利用については事業実施時に対象者より同意を得ている。また本発表については事業主体である市介護保険課の了承を得て実施している。</p>

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