回復期リハビリテーション病棟における実績指数の要因検討

DOI
  • 久保 大地
    医療法人五葉会 城南病院 リハビリテーション課
  • 小林 憲人
    医療法人伯鳳会 はくほう会医療専門学校 赤穂校 理学療法学科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 近年、回復期リハビリテーション病棟 (以下:回リハ病棟)では、より効果的で効率的なリハビリテーションが求められており実績指数が組み込まれている。短い入院期間で質の高いリハビリテーションの提供が求められる。当院の回リハ病棟では目標実績指数を40以上とし、 機能的自立度評価 (以下:FIM)の向上ならびに早期退院を目指している。実績指数に関してはサルコペニアが影響していることが報告されている。しかしながら、実績指数40未満の詳細について検討している報告は数少ない。 40未満の詳細を把握することは回リハ病棟において効率的なリハビリテーションを提供するうえで有効である。 そこで本研究は実績指数40未満を検討し影響を与える要因を明らかにすることとした。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は2022年1月から2023年3月までに当院の回リハ病棟に入棟した者とし、除外基準として測定データに欠損があるもの、急性疾患で病態の悪化したもの。研究デザインは後ろ向き研究とした。 評価項目は、基本属性として性別、年齢、身長、体重、BMI、 介護度とし、栄養評価は入院時にGNRI、ADL評価は入院時FIM、退院時FIM、FIM利得、退院先、また各評価項目から実績指数を算出した。実績指数の結果から40未満群、40以上群の2群に分類し、各群間で身体機能を比較し実績指数に影響を与えている要因を分析した。 </p><p>【結果】</p><p> 解析対象は105例で男性53例 (50%)、年齢は78.7歳±11 (平均値±標準偏差)であった。実績指数40未満は56例 (53%)、年齢は80.8歳±11 (平均値±標準偏差)で,40以上は49例 (47%)、 76.4歳±11 (平均値±標準偏差)であった。実績指数40未満群は40以上群との比較においてBMI、GNRI、入院時FIM、退院時 FIM、FIM利得において有意に低値を示した。実績指数40未満の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果、退院時FIMと要介護認定の有無が採択された。 </p><p>【考察】</p><p> 実績指数に影響を与える要因として要介護認定者が確認された。要介護認定者は入院時FIMの点数が低く入院期間の長期化や FIM利得に難渋する可能性が示唆された。一方で非要介護認定 者は入院時FIMの点数が高く回復する可能性が考えられた。 回リハ病棟の実績指数の向上には、入院時、要介護認定の有無を確認し早期介入、リハビリテーションの検討が重要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究実施にあたり、当院倫理規定および個人情報保護法に沿ってカルテの調査を行い、記載内容が院外に流出しないように細心の注意をした。</p>

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