コロナ禍における地域在住健常高齢者の運動習慣がもたらすもの

DOI
  • 若狭 正彦
    秋田大学大学院 医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 木元 稔
    秋田大学大学院 医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 齋藤 明
    秋田大学大学院 医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 照井 佳乃
    秋田大学大学院 医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
  • 津軽谷 恵
    秋田大学大学院 医学系研究科保健学専攻作業療法学講座
  • 久米 裕
    秋田大学大学院 医学系研究科保健学専攻作業療法学講座
  • 中村 悦子
    秋田市保健所 保健予防課

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> コロナ禍前、コロナ禍における地域在住健常高齢者の運動機能 の経時的変化を検討した。また対象者に対しJ-CHS基準を用い てフレイル評価とコロナ禍における運動習慣について検討した。 </p><p>【方法】</p><p> コロナ禍前の2017年度 (234名)からコロナ禍2021年度 (129名 )にわたり全ての年度において評価を行うことができた32名と した。評価項目は、BMI、膝伸展筋力、足趾把持筋力、TUG、 10m最大歩行速度、Four Square Step Testとした。統計解析は、コロナ渦前の期間とコロナ禍の期間の二群に分け、各評価項目において、年度間に違いがあるかを解析した。また年度を跨いた運動機能の増減変化率として求め、年度間の違いを検討した。さらに2021年の32名の参加者に対してJ-CHSに基づいてフレイル評価を行い、またその年の運動習慣を評価した。 </p><p>【結果】</p><p> TUGにおいて、コロナ前の2017年と2019年の間に有意差が認められた。膝伸展筋力に関して、2019年と2021年度との間、 2020年と2021年度との間に有意差が見られた。TUGに関しては、2019年と2021年との間、2020年と2021年度との間に有意差が見られた。増減率に関しては、膝伸展筋力において、コロナ禍の20年から21年度にかけて筋力は有意に減少した。 TUGにおいては全ての年度間において変化率が増加し、また20年から21年度にかけての変化率が最も大きく、全ての年度間の変化率との間に有意差が認められた。フレイル評価において、 32名の内、10名がプレフレイルであった。運動習慣では、継続的に運動を続けていた者が90.6%で、運動回数は毎週1~2 回が41.4%、3回以上が58.6%、1回の運動時間は10分間が6.9 %、20分間も6.9%、30分間が27.6%、30分以上運動していた者が58.6%であった。 </p><p>【考察】</p><p> コロナ禍前の2019年度とコロナ禍の2020・2021年度の間において、膝伸展筋力、TUGに有意差が認められた。これは生活様式の変化と活動量の低下により、筋力が低下したためと推測される。20年から21年度にかけての膝伸展筋力とTUGの変化率は、各年度の変化率と比べて有意に大きな変化率を示した。これも下肢筋力の低下によるものと考えられる。2021年に関してJ-CHS基準により、プレフレイル者が10名となったが、評価基準項目の「疲労感」による該当であり、社会的な活動制限により精神的な疲労感によるものと思われる。運動習慣の評価から、コロナ禍においても定期的な運動を続けていることが明らかとなった。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者には評価実施前に、評価結果を研究目的で利用する可能性があることを記載した説明書、兼、同意書を用いながら,十分なインフォームドコンセントを行った後,自由意志に基づいて検査結果の研究目的での利用に同意を得た。</p>

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