腰痛を有する看護・介護職員に対する運動機能テストの取り組み ~アンケート調査による取り組み効果の検討~

DOI
  • 成兼 結
    社会医療法人慈恵会 聖ヶ丘病院 リハビリテーションセンター
  • 中原 義人
    社会医療法人慈恵会 聖ヶ丘病院 リハビリテーションセンター
  • 横田 俊輔
    社会医療法人慈恵会 聖ヶ丘病院 リハビリテーションセンター
  • 髙野 涼太
    社会医療法人慈恵会 聖ヶ丘病院 リハビリテーションセンター
  • 鈴木 浩斗
    社会医療法人慈恵会 聖ヶ丘病院 リハビリテーションセンター
  • 羅津 涼太
    社会医療法人慈恵会 聖ヶ丘病院 リハビリテーションセンター

抄録

<p>【目的】</p><p> 当院の衛生委員会では看護・介護職員に対し講話や介助指導を中心とした腰痛予防対策の研修を実施してきたが、職員自身が自らの身体機能に着目し振り返る機会は少なかった。令和4年度に腰痛を有する職員に対し、理学療法士による個別の運動機能テストを実施したため取り組みについて報告する。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は当院に勤務する看護・介護職員のうち腰痛を有しており、今回の取り組みに参加を希望した23名 (男性2名、女性21名、 平均年齢39.9歳)に対し、令和4年11月に理学療法士5名が業務終了後、マンツーマンで30分程の運動機能テストを実施した。評価項目は、Kendallの姿勢分類、自動運動と疼痛有無、股関節屈曲・足関節背屈・SLR・肋骨角の角度、Thomasテスト、 Luomajokiらによるmotor control テスト、ASLRテストとした。評価表に結果を記載して参加者に解説し、事後でも学習できるようスライドを準備した。取り組み後に参加者と理学療法士にアンケートを行い、取り組みの効果について検討した。 アンケート内容は、参加者と理学療法士共通の項目として①参加理由、②参加した感想、③今後の参加希望の有無、④他スタッフへ参加を推奨するかとし、参加者への個別の項目で⑤事後学習実施の有無と資料のわかりやすさについて、理学療法士へは⑤腰痛対策についての意識の変化を挙げた。 </p><p>【結果】</p><p> 実施内容については「とても良い/良い」が26名 (92.9%)であった。理学療法士の意識変化については、腰痛対策への興味と知識の項目で増加したと5名中4名が答え、苦手意識については 3名が低下した。一方、参加者の中で「他職員に参加を推奨する」と答えたのは12名 (52.2%)しかおらず、「仕事に反映できた」という職員はいなかった。 </p><p>【考察】</p><p> 理学療法士による個別の運動機能テストを行ったことにより、参加者は自身の身体機能への理解と腰痛予防・改善に対する関心が高まったことに加え、マンツーマンでの指導がより満足度を高めた可能性がある。また、理学療法士の腰痛予防・改善に対する興味や知識が向上したことからも有用性があったと考えられる。一方で、より看護・介護職員の業務内容に沿った実践的な指導を求められていることがアンケート結果より示唆された。運動機能テストで明らかとなった個々の特徴に応じて、どのように姿勢や動作を改善する必要があるのかなど業務に反映できるよう個別にフォローしていく体制の必要性を感じた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は当法人の倫理委員会にて承認を得た。 ヘルシンキ宣言に基づく倫理的配慮を十分行い、研究内容についての趣旨が記載された同意書にて説明し同意の署名を頂いた。アンケートについては個人を特定できる質問を除外し実施した。</p>

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