介護予防のための地域ケア個別会議有用化に関する横断的研究 -第2報-

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抄録

<p>【はじめに】</p><p> 介護予防のための地域ケア個別会議運営に難渋している自治体は多い.愛知県美浜町の取り組みについて前回の当学会で報告した.一方で残存する課題があり2022年度に取り組んだ成果について報告する. </p><p>【方法】</p><p> 個別会議の課題解決として,打ち合わせに理学療法士が参加し論点を共有すること,グループワークで多職種が意見しやすくすることを追加した. 調査対象は個別会議参加者とし,方法は質問紙またはオンラインとした.調査内容として属性,意義,目的理解,検討時間,会場配置,配布資料,有用性を,また事例提供者には打合せ,配布資料,発表しやすさ,学び,意見活用,事例提供是非を調査した.また以前の調査との比較として意義,検討時間,事例検討の是非を検討した.さらに意義は職種,経験年数,出席回数をクロス集計した.統計学的事項は記述統計のほかクロス集計は有意差検定を行い,有意水準は5%未満とした. </p><p>【結果】</p><p> 職種は介護支援専門員 (以下CM)10名,他職種14名の計24名であった.経験年数は0~3年2名,4~9年11名,10年以上11名であった.回数は0~1回6名,2~4回9名,5回以上9名であった.意義は感じる54.2%,普通37.5%であった.目的は理解できる66.7%,普通25.0%であった.時間は短い8.3%,ちょうど 83.3%であった.配置は話やすい58.3%,普通29.2%であった.資料は分かりやすい54.2%,普通37.5%であった.有用性はある100%であった. 事前打ち合わせはやってほしい44.4%,どちらでもない55.6%であった.資料の記入はしやすい66.7%,普通11.1%であった.会場の発表負担は減った77.8%,変わらない22.2%であった. 学びはある66.7%,どちらでもない33.3%であった.意見活用はある33.3%,ない66.7%であった.事例提供はやっても良い 10.0%,どちらでもよい 30.0%,やりたくない40.0%,無回答 20.0%であった. 以前との比較は意義がどちらでもないが増加傾向,検討時間はちょうど良いが減少傾向,事例検討の是非はやりたくないが減少傾向であった.意義のクロス集計は有意差を認めなかった. </p><p>【考察】</p><p> 課題であった事例提供者の負担軽減や,職種間による意義の有意差は改善した.グループワークで事例提供者への質問集中が避けられたことや打ち合わせに理学療法士が参加することで論点を共有したことが要因と考える.一方で開催意義として,回数を重ねたマンネリ化や地域課題の検討などが課題として挙げられる. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者に対し調査の趣旨を説明し同意を得て実施した.調査データは個人が特定できないよう配慮し,研究者相互間でのデータの閲覧,保管については安全管理の徹底を図り,取得した情報は研究代表者の責任の下に管理し,厳格なアクセス制限の管理と制御を行った.</p>

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