外来心臓リハビリテーション患者の再入院の要因における推算式を用いた骨格筋量の臨床的意義の検討

DOI
  • 山下 耕平
    医療法人社団苑田会 苑田第三病院 リハビリテーション科 苑田会東京脊椎脊髄病センター リハビリテーション科
  • 古谷 英孝
    医療法人社団苑田会 苑田第三病院 リハビリテーション科 苑田会東京脊椎脊髄病センター リハビリテーション科
  • 木村 祐紀
    医療法人社団苑田会 苑田第三病院 リハビリテーション科 苑田会東京脊椎脊髄病センター リハビリテーション科
  • 柏木 秀彦
    苑田第三病院 循環器内科
  • 渡邉 英憲
    苑田第一病院 循環器内科

Abstract

<p>【はじめに】</p><p> 循環器領域においてサルコペニアやフレイルが臨床転機に大きく影響することが報告されている.しかし,実臨床において骨格筋量 (ASM)を測定するDXAやBIAなどの機器が導入されていないのが現状である.近年,身長,体重,年齢,性別からASMを算出できる推算式を用いることが提唱されている.推算式を用いた再入院についての研究は入院患者を対象に調査されているが,外来心臓リハビリテーション (CR)を対象とした調査は実施されていない.そこで,今回の研究の目的は,外来CR患者 を対象に,推算式から算出されるASMが再入院因子になり得るか明らかにして,再入院の予防に役立てることである. </p><p>【方法】</p><p> 研究デザインは後ろ向きコホート研究とした.対象は入院加療を経て2018年6月から2021年12月までに当院にて外来CRが開始された症例とした.従属変数は外来CR開始後1年以内の心疾患による再入院の有無とした.独立変数は,推算式より算出した低ASMの有無とした.低ASMの基準値は,推算式 (ASM= 0.193×BW+0.107×Ht-4.157×gender-0.037×age-2.631, ASM index=ASM/Ht2)より算出したASMIの20パーセンタイルの値 (cut off値)を用いた.調整変数は,年齢,性別,BMI,抗血小板薬使用の有無,SPPBスコアとした.統計解析は,低 ASMが再入院の有無の予測要因かを明らかにするために,単回帰分析および多変量調整モデル (1:調整変数=年齢,性別, BMI,2:調整変数=1+抗血小板薬,SPPB)を用いて検討した (有意水準5%). </p><p>【結果】</p><p> 対象は123名 (女性52名),平均年齢±標準偏差72.8±10.8歳であった.再入院数は26名 (20%) (女性11名,平均年齢±標準偏差77.5±8.5歳)であった.本研究での低ASMのcut off値は男性 7.0kg/m2未満,女性5.4 kg/m2未満であった.単回帰分析の結果,低ASMの有無との有意性を認めた (OR:3.81,95%CI: 1.47-9.86,p<0.01).多変量調整モデルの結果,モデル1では低ASMの有無 (OR:3.46,95%CI:1.17-10.20,p<0.03),モ デル2では低ASMの有無 (OR:4.47,95%CI:1.41-14.20, p<0.02),抗血小板薬OR:3.28 (95%CI:1.27-8.50,p<0.02) が抽出された. </p><p>【考察】</p><p> 今回,推算式より算出された低ASMの有無が外来CRにおける再入院の独立した予測要因であることが示された.この結果から,推算式から算出するASMは機器を使用せずに簡便に行 える臨床的意義のある測定方法であると考える. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> ヘルシンキ宣言に基づき,全対象者に対して,本研究の趣旨及び内容を説明し同意を得た.</p>

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