急性期呼吸器疾患患者における骨格筋量指数の変化に影響する因子の検討

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抄録

<p>【目的】</p><p> 急性期呼吸器疾患における、生体電気インピーダンス法から得られる体組成及び骨格筋量指数 (Skeletal Muscle mass Index; SMI)の研究はまだ散見される程度である。SMIの低下は運動耐容能や身体活動量,Quality of lifeの低下と関連しており、早期からのリスク因子の把握が重要である。本研究では、急性期呼吸器疾患患者における入院中のSMIの低下に影響する因子を検討することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 本研究は、後方視的縦断研究である。呼吸器疾患で入院後、理学療法を実施した19名 (年齢70.7±10.7歳、在院日数26.1± 24.6日、間質性肺炎13名、細菌性肺炎2名、COPD急性増悪2名、気管支喘息1名、肺膿瘍1名)を対象とした。入院時の情報として年齢・性別・Body Mass Index (BMI)・血液所見 (Albumin、C-reactive protein)の情報を収集した。身体機能及び体組成は、理学療法開始時と退院時に測定した。体組成はIn Body770(InBody Japan)を用いて測定した。身体機能は6分間歩行距離(6MWD)、5回起立着座時間、握力を測定した。SMIの変化量と入院時の血液所見及び初回評価時の身体機能・体組成のSpearmanの順位相関係数を算出した。 </p><p>【結果】</p><p> 入院中にSMI (初回:6.2±1.4kg/m2,退院時:6.0± 1.0kg/m2)・BMI (初回:22.6±5.5kg/m2,退院時:21.6± 5.0kg/m2)は有意に減少していた。6MWD (初回:229.5± 182.9m,退院時:336.8±155.4m)、5回起立着座時間 (初回 :10.6±2.2秒,退院時:9.4±2.2秒)、握力 (初回:22.8± 7.2kg,退院時:23.9±6.6kg)は有意に改善していた。理学療法開始時から退院時のSMIの低下量と理学療法開始時の体組成における体脂肪率(rs=0.46)とBMI(rs=0.55)及び入院時の Albumin値(rs=0.51)との間に有意な相関がみられた。 </p><p>【結語】</p><p> 急性期呼吸器疾患患者においても、治療効果として身体機能の改善を認めた。一方でSMI、BMIは有意な減少を呈しており、特に入院時の体脂肪率・BMI・AlbuminがSMIの低下量と関連していた。このことは、骨格筋量低下予防の必要度が高い症例を把握するための有益な要因であると考えられる。そのため、入院時の体組成結果や血液検査を確認し、多職種で情報共有をして骨格筋量の減少を抑える取り組みが必要と考えられる。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言を遵守し、後方視的研究のため個人情報が特定されないよう配慮した。対象者にはオプトアウトの機会を保障した。</p>

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