当院急性期病棟における入退院支援カンファレンスの効果と理学療法士の役割

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抄録

<p>【はじめに】</p><p>二次救急病院に指定されている当院において、円滑な入院や早期退院を目的とした病床管理は重要で、転帰先や方向性を検討する多職種カンファレンス (以下、CF)は厚生労働省より推奨されている。今回、当院急性期病棟で重症化予防と早期離床・ADL獲得を目的に定期的な入退院支援CFを新たに導入した結果、平均在院日数が短縮したため、理学療法士の役割と共に報告する。 </p><p>【方法】</p><p>平均在院日数の調査期間は、CF導入前が2021年11月 1日から2022年7月31日、CF導入後を2022年8月1日から2023年4月30日とした。対象は、CF導入前の脊椎・中枢神経疾患病 棟患者768名、内科・外科疾患病棟患者401名、整形外科疾患 病棟患者805名、CF導入後の脊椎・中枢神経疾患病棟患者805名、内科・外科疾患病棟患者418名、整形外科疾患病棟患者 748名とした。CFは各病棟で週1回、約30分行った。参加者は退院支援看護師、社会福祉士、理学療法士とした。検討内容は患者の方向性や転帰先の他、介護保険サービスの有無、介助者の有無、本人・家族が希望される転帰先の進捗も含め検討した。理学療法士の役割は、対象者の予後予測と転帰先に必要なADLの維持・獲得を目的とした助言を行なった。Barthel Index、理学療法・作業療法の訓練内容をまとめた資料を参考に、疾患・術後スケジュールを考慮してADL獲得時期の予後予測を行い、転帰先の検討を行った。また、患者の病棟内での移動方法や排泄方法などADLについて看護師に助言を行った。必要に応じて患者家族とカンファレンスの日程調整を行い、介助動作の指導も行った。 </p><p>【結果】</p><p>CF導入後の平均在院日数は、脊椎・中枢神経疾患病棟は14.7日から13.7日、内科・外科疾患病棟は20.6日から19.0 日と短縮したが、整形外科疾患病棟は13.5日から13.8日と大きな変化は認めなかった。CF導入後は、多職種連携が促進し転帰先への診療情報提供書やサマリーが迅速に作成されるようになり、転帰先への調整が円滑になった。また、看護師がBarthel Indexや助言に基づくADLを患者に促したことで、患者は日中の生活でも積極的に離床され、ADL訓練が行われるようになった。 </p><p>【結論・考察】</p><p>CFにより早期から患者の転帰先を把握し調整したことで、在院日数が短縮したと考える。また、理学療法士の予後予測をもとにADLを助言したことで、早期離床やADLが向上し、重症化予防に繋がった結果、転帰先の幅が広がり在院日数は短縮したと考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本調査はヘルシンキ宣言に沿って、個人が特定できる情報は削除し、個人の特定が出来ない様最大限の配慮を行った。</p>

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