コロナ禍における北海道在住大学生の抑うつ症状と関連要因

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 2020年以降の新型コロナウイルス感染症 (以下、COVID-19)の流行は、大学生の生活に大きな影響を与えた。COVID-19の感染対策として、ソーシャルディスタンスを保った上での座席指定が行われ、感染拡大時には、登校の制限に加え、オンライン講義が導入された。先行研究では、COVID-19の流行が、ストレスや不安、うつといった多くの精神障害をもたらすことが報告されている。本研究は、コロナ禍における大学生の抑うつ症状に関連する要因を検討することを目的に、Webによるアンケートを実施した。 </p><p>【方法】</p><p> 2022年4月に北海道のA大学に在学する学生1851名にWebアンケートを実施し、回答及び同意が得られた187名 (男性65名、女性118名、回答しない4名)を対象とした。Google formsを用いてアンケートを作成し、調査項目はうつの指標としてうつ病自己評価尺度 (The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale、以下CES-D)、平均歩数、平均睡眠時間、運動習慣の有無、WHO-5精神的健康状態表 (以下、WHO-5)、食品摂取頻度スコア (Food Frequency Score、以下FFS)、新型コロナウイルス恐怖尺度 (Fear of Coronaviruss-19 Scale)、基本 情報を調査した。統計解析は、CES-Dの得点が16点未満の者を 抑うつ群、16点以上を正常群とし、群間比較を行った。その後、抑うつの有無を従属変数とし、ロジスティック回帰分析を行っ た。有意水準は5%とした。 </p><p>【結果】</p><p> 対象者のCES-Dの平均は18.2±9.9点であり、抑うつ群は95人 (49.7%)であった。抑うつ群と正常群の比較において、運動習慣の有無およびアルバイト実施の有無は、正常群の方が有意に実施者が多く、WHO-5およびFFSは正常群の方が有意に値が高かった。ロジスティック回帰分析では、抑うつに対し、年齢、性別、BMIを調整した後も運動習慣 (OR= 0.35)、アルバイト実施 (OR= 0.46)およびWHO-5得点 (OR= 0.79)が、それぞれ有意に関連することが示された。 </p><p>【考察】</p><p> 運動習慣や食習慣といった生活習慣因子の中でも、抑うつには運動習慣やアルバイトの実施が関連していることが明らかとなった。一方、コロナ禍における調査であったが、COVID-19に対する恐怖心の影響については認められなかった。本調査は、 COVID-19の国内流行の第6波と第7波の間に相当する期間に行われており、対象者は2年以上コロナ禍を過ごし、過度な恐怖を抱くことなく、コロナ対策に適応している可能性が考えられた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者には、本研究の主旨および目的をアンケート冒頭で示し、アンケートの回答をもって本研究への参加の承諾を得た。なお、本研究は北海道文教大学研究倫理委員会の承認を受け実施した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ