人工知能による慢性痛保有者の身体活動量と転倒経験の関連性分析

DOI
  • 肥田 光正
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻 大阪河﨑リハビリテーション大学大学院 リハビリテーション研究科
  • 今岡 真和
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻 大阪河﨑リハビリテーション大学大学院 リハビリテーション研究科
  • 中村 美砂
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻 大阪河﨑リハビリテーション大学大学院 リハビリテーション研究科
  • 久保 峰鳴
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻
  • 田崎 史江
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻
  • 堺 景子
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻
  • 中尾 英俊
    城西国際大学 福祉総合学部
  • 長谷川 歩菜
    訪問看護リハビリステーション癒々 リハビリテーション科
  • 山坂 宏太
    神戸医療福祉専門学校三田校 理学療法士科
  • 今井 亮太
    大阪河﨑リハビリテーション大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻 大阪河﨑リハビリテーション大学大学院 リハビリテーション研究科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 慢性痛 (CP)患者の身体活動量の低下は機能障害や能力障害の増悪に関連しているため,身体活動量増大のための運動プログラムが勧告されている.しかし,身体活動量が低下しているCP保有者の原因は十分に明らかにされていない.そこで本研究は, CPを有する地域在住高齢者のうち身体活動量低下の関連因子を抽出するとともに,分析に人工知能分析を加えてその精度を検証した. </p><p>【方法】</p><p> 対象は70歳以上でCPがあり,ADLが自立している者89名 (77.4 ±5.0歳)である.CPは国際疼痛学会の定義を引用し,3ヶ月以上継続する痛みを有する者をCPありとした.身体活動量の評価には国際標準化身体活動質問紙環境尺度日本語短縮版 (IPAQ-SF)を用いた.また,参加者の測定データから,CPの関連因子である年齢,性別,BMI,The Central Sensitization Inventory-9 (CSI-9),Tampa Scale for Kinesiophobia Japanese version (TSK-11),握力,歩行速度,Athens Insomnia Scale,変形性関節症の既往や転倒経験を分析に用いた.分析のため, IPAQ-SFの結果から,低身体活動群と中等度あるいは高強度活動群の2群に分け群間比較し,有意差あるいは有意な傾向のある変数を独立変数として階層性ロジスティック回帰分析を (LR)実施した.人工知能を用いた分析は多層パーセプトロン分析 (MLP)を用いた.各変数はLRと同様の変数を用い重要度分析を実施した.LRとMLPの精度の比較は,正解率,受信者動作特性曲線から算出する曲線下面積 (AUC),感度,F1スコアを用いた. </p><p>【結果】</p><p> LRの結果,CPの低身体活動は転倒経験 (オッズ比5.98)が有意に関連していた.一方,MLPの結果,CPの身体活動量低下の関連因子として,重要度が高いものとしてBMI,転倒経験, CSI-9,TSK-11が順に抽出された.LRとMLPの精度の比較では,正解率 (81.8% VS 84.6%),AUC (0.75 VS 0.89), 感度 (0.67 VS 0.87), 特異度(0.84 VS 0.78),F-1 score (0.79 VS 0.87) であっ た. </p><p>【考察】</p><p> CPを有する地域在住高齢者の身体活動低下に関連する因子は転倒経験であった.よって,身体活動レベルを改善させるために転倒予防の種々の方策が重要であると考えられた.また人工知能による分析はLRよりも予測モデルの精度が優れていた.今後の研究は,より良好な精度を有するモデルを構築するため複数の解析を並行して実施することが有用であると考えられた. </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は大阪河﨑リハビリテーション大学倫理審査委員会から承認(OKRU30-A016)されており,参加者には書面にてインフォームドコンセントを実施した.</p>

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