婦人科がん患者の治療と仕事の両立支援に関する介入 ~システマティックレビュー~

DOI
  • 久原 聡志
    産業医科大学病院 リハビリテーション部
  • 樋口 周人
    (株)SENSTYLE エイジングサイエンスラボ 産業医科大学 リハビリテーション医学講座 産業医科大学 両立支援科学講座
  • 舩津 康平
    産業医科大学病院 リハビリテーション部
  • 村上 武史
    産業医科大学病院 リハビリテーション部
  • 原田 有理沙
    産業医科大学 両立支援科学講座 産業医科大学病院 両立支援科
  • 高木 絵里子
    コニカミノルタ株式会社 産業医科大学 産業生態科学研究所
  • 立石 清一郎
    産業医科大学 災害産業保健センター
  • 佐伯 覚
    産業医科大学 リハビリテーション医学講座

抄録

<p>【目的】</p><p>婦人科がんは、生殖器官に発生するがんの総称で、具 体的には子宮がん、卵巣がん、子宮頚がんなどが含まれる。がんの種類によって好発年齢は異なるものの、20代から50代の 就労世代で多く罹患する疾患の1つである。近年では、治療技術の進歩によって婦人科がん罹患後の生存率は改善傾向にあり、治療と仕事の両立支援 (両立支援)のニーズも高まることが予想される。本研究の目的は、就労世代における婦人科がん患者の復職及び就労継続に関する介入を文献調査にて抽出し、必要な両立支援を検討することである。 </p><p>【方法】</p><p>キーワードを用いPubMed のデータベースを使用した。研究者2名が独立し、該当した英語文献について文献選別を行 った。意見が分かれた場合、第3者との協議を行った。包含基準は研究デザインが無作為化比較試験、非無作為化比較試験などの介入研究、観察研究で、対象者が消化器がんの診断時に有給雇用の可能性がある 18歳以上、介入方法が復職及び就労継続に影響する要因及び障壁への対処(職場での調整、身体的活動、手術、多職種連携)への介入とした。除外基準はレター等の一般的論文体裁を成さないもの、レビュー論文、就労能力未獲得の患者へのアプローチ、リスク要因の検討のみの論文とした </p><p>【結果】</p><p>キーワードを用いた検索の結果、PubMed で865 編がヒットした。タイトル及びアブストラクトから今回の目的に該 当する文献は34 編に絞られ、本文の詳細な検討により計8編が抽出された。介入内容としては、医療機関での就労支援を医師や看護師が行ったものであり、理学療法士などのリハビリテーション専門職が関与する研究は無かった。アウトカムは復職率、病休期間、身体機能、健康関連QOL、仕事における生産性などが含まれていた。また本邦における報告はなかった。 </p><p>【考察】</p><p>婦人科がん患者に対する介入手段として、理学療法士およびリハビリテーション専門職が関与している研究は無かった。婦人科がんのように特定の身体機能障害がない場合には、身体・精神心理機能の低下を想像することは難しく、医療側がリハビリテーションの必要性を感じないことがその一因と考える。しかし、がん診断後に加速度的に身体機能が低下することも報告されているため、身体・精神心理機能の維持するためのリハビリテーションの支持的介入は必要であり、我々理学療法士の介入が、より良い仕事と治療の両立支援の一助となる可能性がある。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>過去の論文内容を用いたシステマティックレビューのため、倫理申請は不要である。</p>

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