医療系学生における学生版プレゼンティーイズム尺度と大学生活不安尺度(CLAS)の関係性

DOI
  • 藤本 昌央
    大和大学白鳳短期大学部 リハビリテーション学専攻

抄録

<p>【はじめに】</p><p> Presenteeism (プレゼンティズム)とは、健康状態や生活環境の悪化によって生じた症状や障害を抱えながらも、出勤や勤務を継続することを指す。近年では大学生を対象にしたプレゼンティズム研究が行われており、さらに退学を予防することが重要であることが報告されている。つまり、プレゼンティズムの状態は病気や症状を抱えているにもかかわらず、業務に勤務または学業については出席し続ける状態のことである。 本研究では医療系学生におけるプレゼンティズムを調査し、さらに大学の退学などに関連する大学生活不安尺度 (CLAS)の関連性を明らかにした。 </p><p>【方法】</p><p> A短期大学 (3年制)に所属する理学療法学課程に所属する1.2年生を対象にした。調査時期は令和4年6月に実施した。質問紙法における学生版プレゼンティーイズム尺度と大学生活不安尺度 (CLAS)を行わせた。CLASにおいては合計値と下位尺度の日常 生活不安、評価不安、大学不適応の合計値を検討した。学生版プレゼンティーイズム尺度において不調を訴える群と訴えがない群において、Mann‒Whitney U testを用いて検定を行った。さらに学生版プレゼンティーイズム尺度とCLASをスピアマンの順位相関係数を用いて関連性を調査した。有意水準は5%とした。 </p><p>【結果】</p><p> 有効回答人数は62人(回収率78.2%)であった。プレゼンティズムにおけるなんらかの不調を訴える者は37名 (1年生21名、2年17名)であった。不調を訴えない者は25名 (1年生21名、2年 4名)であった。 これら不調がある者における1年と2年ではCLASにおける大学 不適応において有意な差を認めた (p<0.05)。さらにこの傾向は女性において同様に認められ (p<0.05)、男性では認めなかった (p>0.05)。対照群全体におけるプレゼンティーイズムにおける、 “あなたは現在の学業にどれくらい満足していますか (満足度) ”と大学不適応においてはやや強い負の相関を認めた (P<0.01) </p><p>【考察】</p><p> 本研究によって、医療系学生において2年生はなんらかの不調を訴え、大学不適応が高まることが認められた。特に学業の満足度と大学不適応との関係性が明らかとなったことから学習内容の多さや難易度、自身の能力不足や自己効力感の低さが考えられる。 </p><p>【結論】</p><p> 本研究の結果から医療系大学生の退学に関与する大学不適応は、プレゼンティーイズムに関与することが明らかとなり、これに対する大学側の方略が重要であることが示唆された。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は白鳳短期大学の倫理審査を得て実施した。研究の趣旨、学会等で公表すること、匿名で個人情報は公表しないこと説明 し、書面にて同意が得られた者を対象とした。</p>

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