虚血性心疾患者におけるスマートフォンアプリを用いたオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムの効果

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 虚血性心疾患の継続的な管理は重要であるが、その課題に対し、スマートフォンアプリを活用した疾病管理が注目されている。 本研究は、虚血性心疾患保有者を対象として、専門職によるスマートフォンアプリを用いたオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムの効果を評価することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> 本研究は後方視的調査である。2018年12月~2022年10月に PREVENT社が提供する6ヶ月間のスマートフォンアプリを用いたオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムに参加した者のうち、レセプト病名に虚血性心疾患を有した者270名を対象とした。6ヶ月間のプログラムを完遂できなかった者は除外した。スマートフォンアプリを活用したオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムでは、対象者に体重や家庭血圧に加え、ウェアラブル端末 (Fitbit Inspire2)と塩分測定器 (減塩モニタ、河野ME研究所)を用いて歩数、脈拍、睡眠状態、塩分推定摂取量などをアプリに記録してもらったうえで、看護師、保健師、管理栄養士、理学療法士などの専門職が、2週間に1回の電話面談やチャットにてマンツーマンで疾病管理に関する指導を行った。アウトカムはLDLコレステロール値、サブアウトカムは、 HDLコレステロール値、中性脂肪値、HbA1c、尿酸値、平均睡眠時間、平均歩数とした。統計解析は、介入前後にて対応のあるt検定を行った。 </p><p>【結果】</p><p> 4名が除外され266名が対象となった (平均年齢:56.5歳)。終了時において、LDLコレステロール値 (開始時112.4± 34.4mg/dL、終了時103.7±30.4mg/dL) 、中性脂肪値 (開始時 161.6±96.9mg/dL、終了時138.5±77.6mg/dL)、平均歩数 ( 開始時8751.8±3814.7歩/日、終了時9880.7±4246.0歩/日)で有意な改善を認めた。一方、HDLコレステロール値 (開始時 54.3±15.1mg/dL、終了時57.1±15.6mg/dL)、HbA1c (開始時 6.7±1.2%、終了時6.4±0.9%、尿酸値 (開始時5.9± 1.3mg/dL、終了時6.1±1.3mg/dL)、平均睡眠時間 (開始時5.7 ±1.1時間、終了時5.8±1.0時間)においては有意な改善を認めなかった。 </p><p>【考察】</p><p> 虚血性心疾患保有者を対象として専門職によるスマートフォンアプリを用いたオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムが有効である可能性が示された。今後は対照群を設けるなど更なる検討が必要である。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき実施され、参加者はプログラム開始時に、アプリで収集したデータを今後の研究に使用する可能性があることを明記したプライバシーポリシーに同意した。また、本研究は甲南女子大学研究倫理委員会の承認を得て実施した (承認番号:2021008)。</p>

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